2021年、いよいよインターネットの夜明けが始まった
いよいよ2021年も終わります。
新型コロナの影響がまだまだ続きそうな世の中ですが、Webやテクノロジーの分野では常に新しい情報が生まれて、新しいカルチャーやビジネスモデルの形が見えそうな年だったと思います。
2021年を振り返り、個人的に印象的なことを簡単にピックアップしたいと思います。
2021年度の主な印象的な出来事
- トランプ大統領の支持者が米議会に乱入
- バイデン氏が米大統領就任
- ゲームストップ騒動
- スエズ運河座礁による影響
- Clubhouseの大流行
- NFTバブル
- ミャンマーでクーデター:国軍が全権掌握
- DaftPunkの解散
- バージル・アブロー死去
- ジェフベゾス氏、バージン創業者・リチャード・ブランソン氏、ZOZOTOWN創業者・前澤友作氏、宇宙に行く
- 東京オリンピック・パラリンピック開催
- Facebookが「Meta」に社名変更
個人的な好みでピックアップしていますが、2021年の全体的な流れが見えてくるのではないでしょうか?
個人的にはテクノロジーの進化の速さと、コロナ禍が2年続く中で人々の価値観が劇的に変化していることを感じます。一方で多くの企業や今までの仕組みがその変化に対応できていないことを感じます。
リモートワークがこれだけ一般的になる中で、今までの企業の文化作りでは従業員のロイヤリティを維持できなかったり、ユーザーが求めているスピード感に対応できないなど、2022年以降は多くの企業が正にデジタルトランスフォーメーション(DX)により、社員との関係性構築やビジネスモデル自体の変革を求められます。
2021年の主なトレンドワード
1.Clubhouse
年初にClubhouseが話題を席巻しました。スタートアップ界隈から火がついて、Youtuberやビジネス芸人のような人たちにつながって、1-2週間で一般の人も知っているという。。。個人的には世の中のその現象が本当に衝撃でした。
2.NFT
2021年は「NFT」(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン)というキーワードをあらゆるニュースやメディアで見ることになりました。きっかけはTwitterの元CEOのジャック・ドーシーの、2006年の初ツイートがNFTとして販売され、250万ドルで落札されたニュースだと思いましたが、他にもいろいろなNFTの話題がありました。
一時期日本は仮想通貨のマーケットが大きかったですが、コインチェック事件以降、技術も市場もいまいち盛り上がらない状態でした。NFTをきっかけに日本のCrypto市場が広がり、エンジニアも多くなると良いなと思っています。
3.メタバース
メタバースも今やバズワードですね。FacebookがMetaに社名変更したことからも、一般の人にも一気に知られる言葉になりました。
メタバースの実現には現在の1000倍のコンピューティング能力が必要、ということで、より心地よいバーチャル環境を実現するためには技術的な課題解決が必要です。
また実際にどのようにオープンな状態を作るのか、セキュリティ面のリスクを誰が取るのかなど、課題が多いですが、まさにレディ・プレイヤー1の世界が近づいているのを感じます。FortniteやRoblox、Discordなどがメタバースの入り口になるのでは?などという話もあり、このメタバースの実現は新しい人間の生活様式、働き方、コミュニケーションに大きな変化をもあたらすテクノロジーであり、どのように実現するのか楽しみです。
Oculus Quest 2を体験すると技術の進化の速さを感じます。ほんの数年前は強力なPCのマシンが必要だったのに、単体機であのクオリティが実現するとは、本当に技術革新が速いです。
ビル・ゲイツが「今後2、3年のうちに、ほとんどのオンライン会議は、2Dのカメラ画像のグリッドから、デジタルアバターによる3D空間であるメタバースに移行するだろう」ということですから、いずれにしても遠くない将来にメタパースは実現します。
4.Web3.0
Web3.0は今年の大きなキーワードであり、インターネットの夜明けでもあります。
デジタルのコンテンツやデータにオーナーシップ(所有権)を付与することにより、新しいインターネットの形が生まれようとしているからです。
「NFT」(非代替性トークン)や「DAO」(自律分散型組織)、「DeFi」(分散型金融)など、ブロックチェーンのスマートコントラクト(契約の自動化)やクリプト(仮想通貨)をどのように応用するか、どのようにルール化するかはいろんなコミュニティが試行錯誤しているところなので、2022年はその一つの方向が見えてくる年になるのかもしれないです。
ブロックチェーンは技術的な課題もまだまだありますが、その辺も間違いなく革新していくので、新しいビジネスモデルや新しい産業が生み出されることでしょう。
D2Cブランドのエクジット
D2CブランドのExit(IPOまたはM&A)が増加した年でした。
Warby ParkerやAllbirdsなどのいわゆる先駆け的なD2CのIPOなどが続きました。
一方、Casperのように、新興DCブランドの雄として上場してから2年でPEファンドに身売りするなど、華やかなブランドイメージとは裏腹に、明暗が分かれたブランドも多くありました。日本でもいわゆるD2Cブランドの群雄割拠が続いており、それに伴いブランドのM&A件数も、今後より増えるものと思います。
※PEファンド:潜在的な成長力を活かしきれていない企業に投資をして、企業価値を高めてからIPOまたは売却をするファンド。
Eコマース業界に影響が大きいiOS14アップデート
今年のAppleのiOS14.5リリースは多くのD2Cブランドの広告運用に影響を与えているようです。プライバシー保護を目的としたアップデートですが、Cockie規制によりリマーケティング広告への影響が甚大です。
・リターゲティング広告配信の減少
・ターゲティング広告精度の低下
・CV測定の困難によるコンバージョンの減少
などが起こっており、運用コストや広告費用が数倍と膨らんでいるブランドが多いようです。
デジタルによる集客が効率が良かったD2Cブランドも、広告による費用対効果が悪いとなると、リアル店舗へシフトチェンジしたり、「北欧暮らしの道具店」のように自社コンテンツに振り切るなど、新たなエンゲージメントの高い集客方法を模索することになります。
結局、「Content is King」by ビル・ゲイツ。
最終的にはユーザーにとって魅力的なクリエイティブや、共感性の高いストーリとコンテンツを手間暇かけて、熱量を持って長期的な戦略として取り組むブランドが強いと言えます。
2022年はどのような方向に向かうのか?
全体的に世の中がより「共感」や「信頼」を大切にしていて、どんな「文化(カルチャー)」なのかがより大切になってきています。「SDGs」や「ESG」も今までは企業はポーズを取っていればよかったものが、最近はその文脈が企業文化とどう整合しているのか?その企業が言っていることがソーシャルの文脈で本当に信じられるのか?を特に若い世代は見ています。透明性をポリシーにして成長してきたEverlaneが、会社を守るために透明性に反することをすると一気に炎上して、ブランド力が落ちたのはその典型です。
答えのない時代に求められるポリシー
背景には社会的な分断やメディア不信、答えがない時代において、企業やブランド、コミュニティにはリーダーシップと、善き社会の形を体現する姿勢が求められているからだと思います。そして従業員も消費者の一部であり、消費者は単なる顧客ではなく、企業やブランドと同じベクトルを向いているフォロワーであるということです。
テクノロジーとカルチャーを理解することが大切
企業がブランドを作るのはより難しくなってきています。昔のようにマスマーケティングをしていても自社のカルチャーを理解しているロイヤリティの高いユーザーが増えるわけではありません。有名な芸能人がYoutubeを始めても失敗するのと同じです。「認知されている」=「愛されている」わけではないので、そのようなブランドはすぐに同じようなブランドが出てくると代替されてしまいます。
ユーザーがどのようなことを大事にしているのか?世の中でカルチャーを作っている人たちは何を面白いと感じて、どんなベネフィットを必要としているのか?そのユーザーたちがどんなコミュニティに属していて、どのようなテクノロジーによるタッチの仕方が有効なのか?
お金を出してただ広告を流すのではなく、企業はより丁寧にそしてユーザーフレンドリーに、手間隙をかけてユーザーに接点を持つ必要があります。
まとめ
2021年を振り返ると、テクノロジーの話題が茶の間でもされていることに時代の変化を感じますし、技術革新のスピードがより加速していることをより強く感じる年でした。
テクノロジーの革新と共に、ユーザー側の価値観が確実に変化していること、そしてWeb3.0によりオーナーシップ経済が普及し、よりクリエイターエコノミーな時代になった2021年は、正にインターネットの夜明けが始まった年だと思います。
新型コロナが落ち着くのでは?という淡い期待もしていたけど、オミクロン株の流行などを考えると、あと2-3年は少なくとも現状が続くと思われます。日本においても2025年の大阪万博までは、インバウンドや人の動きが本格的に戻らない可能性も考えておいた方が良さそうです。
その中で、より新しいビジネスモデルへの変化やDX(デジタルトランスフォーメーション)などをどれだけやり切れるかが、企業にとってはコロナ禍以降の時代の生き残るために必要なことだと思います。
2022年が日本にとっても、そして地方の多くの企業にとっても飛躍するきっかけを掴める年になると良いなと思います。