Soul Bound Token(SBT)とは何か?Web3の未来なのか?それともディストピア?
Soul Bound Token(SBT)とは
Soul Bound Token(SBT)とは、譲渡が不可能なトークンのことを表します。
今までの暗号資産は譲渡や移動が可能なのが当たり前でした。その利便性やプライバシーの高さが良かったのですが、社会的な信頼や信用を積み重ねるには不向きな仕組みです。
そこでSBTを利用し、デジタル上に社会的な信用を積み重ね、さらに暗号資産の経済圏を良くするために生み出されました。
Soul Bound Token(SBT)のユースケース
出品者や製造元の確認
例えば靴やバックなどのブランド商品などの偽物を防ぐために、鑑定書や保証書が存在します。鑑定書や保証書などがあるおかげで、購入者は本物だと確信し安心して購入することができます。
しかしここ数年で流行したNFTには、完全に本物だと簡単に証明できる方法がありませんでした。そこでSBTを使用することで、簡単にNFT作成者や製造元を確認することができます。アーティストが発行したNFTに自身のSoul(SBTを保有したウォレット)をリンクすることができ、簡単に誰がNFTを発行したか確認することができます。
個人情報の担保で融資市場の活性化
現在の暗号資産のレンディング(Lending)サービスで資金を借入するには、先に担保として暗号資産が必要になります。このように暗号資産でのレンディングサービスでは暗号資産を借りるために暗号資産を担保にしなければなりません。これは借入するユーザーが資金を返す保証がないので、先に担保を入れるしかないからです。
しかし、銀行や消費者ローンで借入する際は、先に担保が必要ではありませんよね?これは個人の属性や今までの支払い状況という信用情報(CIC)が積み重なっているので、それに応じて無担保で借入ができるのです。
SBTを使用することで、Soulに信用情報(CIC)を積み重ねて行くことによって、暗号資産の業界でも無担保で借入ができるようになります。
分散型リカバリーの実現
現在のウォレットが消えた場合やログインできなくなった場合は紙ベースや専用のプレートに記憶したリカバリーフレーズにて復活できる仕組みになっています。
この仕組みはセキュリティが高い反面、問題としてリカバリーフレーズを紛失しまった場合は、一生ウォレットを復旧することができずにセルフゴックスしてしまうという点があります。
卒業証書などの人生一回しか発行されないSBTを保持するSoulをセルフゴックスをしてしまうと大変なことになってしまいます。そこでSBTを利用した分散型リカバリーが開発されました。学校やクラブなど同じSBTをもつコミュニティからの推薦があれば、ウォレットをリカバリーできる仕組みです。これにより、コミュニティの活性化とセルフゴックスの防止をすることができます。
マーケティング精度の高いドロップ
コミュニティを作成する際に、多くのプロジェクトはユーザーのウォレットにエアードロップをして囲い込んでいました。しかし、多くのウォレットはエアードロップ用に作成されたウォレットでメインのウォレットではありませんでした。コミュニティの人数とウォレット数などの違いなどさまざまな点で精度や正確性にかけてしまっていました。
SBTでは、Soulを利用した「Souldrops」ができるようになり、マーケティングの精度が格段に高くなります。
Souldropsとは、SBTやSoulの内訳によってエアードロップの段階を変更できることです。
例えば、カンファレンスに5回出席した記録のあるSoulや、3回しか出席していないSoulに別々のトークンをエアードロップできるような仕組みになります。
プログラムによって、SBTの組み合わせでエラードロップの重要度の変更ができます。
DAOの正当化
DAOでは、方針や案を決定するのにパブリックブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて投票を行います。
DAOは、世界中の人が国境の垣根を越えたグローバルなコミュニティを広める画期的なシステムです。しかし、問題点として投票の際に、1ユーザーが複数のウォレットを持つことで多くの議決権を獲得したり、アクティブでないウォレットにも1トークンに付き1投票を有したりする場合、51%攻撃をされる可能性があるということです。
この問題はSBTを使用することで軽減することができます。
- Soul内のSBTを確認し、アクティブなSoulなのかBotなのかを判別し、シビル攻撃用のSoulの投票権は排除する。
- 職歴や学歴、免許、資格などの情報をSBTに追加し、優良なSBTを保有するSoulに多くの投票権を配布する。
- DAO構築のための「人間証明」SBTを発行し配布する。
- 他の投票などを確認し、より人間らしい投票の相関に近いSBTを保有しているSoulは投票権に優位性が付与される。
多くのウォレットのBotを生み出せる状況では、シビル攻撃が可能になります。SBTを利用することで、より有益なコミュニティを構築することが可能です。
分散化の測定と有益Soulのみの許可投票
エコシステムを分析する際に、エコシステムがどれだけ分散されているかを測定することが望まれます。身内だけで分散されているのか?Botが多く分散されているのか?
投資をする際に重要なファクターになるのは間違いありません。
例えばトークンの所有者の多くが取締役のみが保有していたり、同じ政府によって規制されていたりなどの可能性があります。
それらは意図的に共謀を起こしたりする可能性があります。
SBTによってそれらの社会的依存関係、同盟関係、連帯関係を把握することができます。
- SBTが豊富なSoulに限定することができます。
- プロトコルが異なるSBTを持つSoulの関係性を調査したり、一部のSBTを除外し検索と調査をすることができます。
- ネットワーク全体を確認し、異なるレイヤー間を調査します。レイヤー間でのSBTを保有するSoulの関係性を測定し、投票、トークン所有、ガバナンス関連のコミュニケーション、および支配関係を測定することができます。
このようにさまざまな関係性を調べることにより、意味のある分散化を進めることができるようになります。
Soul Bound Token(SBT)の実装例
Binance Account Bound(BAB)
Binanceが、2022年9月8日からSBTを使用したID資格情報のBinance Account Bound(BAB)トークンを配布しています。
BABトークンは、BinanceでKYC認証が完了されたユーザーに配られ、BABにはID資格情報が記憶されています。
BABを使用して、複数のプロジェクトに参加することで報酬をもらえるシステムになっています。
参考サイト
https://www.binance.com/en/support/announcement/0fe1e7c8781844e29f56cb674231dfd7
Skybreach Land
Skybreach Landではアバターのスキルや性格などにSBTが使用される設計となっています。
アバターがゲームで経験した事やスキルなどがSBTに刻まれて、ゲーム内にあなたのSBTが影響したり、NPC(ノンプレイヤーキャラ)の反応が変わったりするといった仕様のようです。
参考サイト
Soulbound
Soulboundとは、2022年6月17日にステルス状態から抜け出し、360万ドルのシードラウンドの資金調達を完了したGameFiのプロジェクトです。
Soulboundでは、ユーザーの体験に応じて付与されるSBTの「M-XP」が存在します。
M-XPはメタバース空間で体験したこと(ゲームで稼いだり、トーナメントで成果をあげたり)に対して付与されます。
M-XPは譲渡ができないので、そのプレイヤーの称号としてずっと残し続けることが可能です。ゲーマーとしての真のアイデンティティを獲得できる唯一のプラットフォームとなります。
参考サイト
未来なのか?それともディストピア?
まとめ
以上がSoul Bound token(SBT)の解説となります。
SBTがこれから暗号資産の業界に大きな変化をもたらすのは間違いない技術です。
これからのアーティストの立ち位置やゲーム業界のブランド確立方法、セキュリティリスクの軽減、DAOの在り方などさまざまな用途でSBTは活躍していくでしょう。