人工知能が発達する今「天然知能」について考える

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こんにちはももせです。

郡司ペギオ幸夫 著の『天然知能』(講談社選書メチエ)という本を読みました。

とてもおもしろいことが書いてあるのですが、

今回はその中でも気になった点のみを抽出して、掻い摘んで、

自己流に!ご紹介させていただきます。

人工知能と天然知能の違い

まず当書において、人工知能と天然知能という2つの知能を、

それぞれどのように解釈しているかをご紹介します。

今回はわかりやすく、
「あなたは小さな部屋と廊下が迷路のように入り混じっている
 薄暗いビルの中で、出口を求めて彷徨っている。」
というシチュエーションの中で、それぞれの知能がどのように対処するか、
という違いを見ていきましょう。

人工知能の場合

あなたは自分の知識から必要な情報を繋ぎ合わせて、
ビルの地図を作り出し、それを用いて出口を探して出ていきます。
あなたは人工知能ですから迷い込んだ部屋の内部構造は、画像から速やかに計算し、
正確に把握することができます。
あなたは常に、視界に広がる全てをデータとして認知し、
得られたデータと以前のデータの関係をデータ化することで、地図を拡張していきます。

かくしてあなたはデータの集まりとしてのみ世界を把握することができるのです。

・・実はこのビルには、特別な仕掛けがあり、
一階のある部屋が回転し、二階へと続く階段が出てきたり、
今までなかった抜け道が突如姿を現したりするのですが・・・
それは人工知能であるあなたの居ない場所、見ている部屋や廊下ではない場所、
あなたが知覚していないところで起こります。

つまり、人工知能とは、知覚したものだけを自分の世界に取り込み、知覚できないものの存在を許容することができない存在なのです。

天然知能の場合

それに対して天然知能のあなたは、

同じくまず今いるところから抜け出そうと考えます。
しかし手探りのあなたは人工知能のように正確な地図を作り出すことができませんし、
全体構造をデータ化し判断することなんてもってのほかです。

しかし、逆に、それが功を奏し、
あまりに出来ないことから、自分の判断の基盤を自分の内部ではなく外部に呼び寄せるようになります。

常に「何かあるんじゃないかなぁ」と視界に映らない何かを求めながら動きます。

人工知能が単なるデータとして判断していた部屋と廊下が交わってできた空間を、
あなたは、一切可能性を制限せず、自由な可動領域として認知し、
「何かあるんじゃないか」と余白を持って見ることができます。
その結果、人が通れそうもない脇道で猫が昼寝しているのを見つけ、二階へと続く隠し階段のスイッチを見つけることができるのです。
そうして出口を探すという目的に対しても「何かあるんじゃないか」を探していく。
二階に行ってあまりにもいい景色だったものだからそのビルに住み着いてしまう・・なんてことも、
天然知能だからこそです。

つまり、天然知能とは、
知覚され、感覚されることがなくても、その存在を認める
何かあるんじゃないか」って探し続ける能力のことなのです。

日常にある天然知能の例

天然知能は思ったより身近にあります。
・好きな人に思ってもないことを言ってしまう

・底が見えない湖で釣りをし、まだ見ぬ魚にわくわくする

・幽霊を想像して怖くなる

・声が出ないほどのショックを受けて立ち尽くしている人の悲しみを察してあげる

・友達が言った「ヤバい」が良い意味なのか悪い意味なのかがわかる

すべて、目に見えない知覚できない何かに
「何かあるんじゃないか」と期待・想像・恐怖して判断しています。

これからの時代に必要な天然知能

人工知能の発達によって、
人が暗記や計算をする必要性が徐々に減っていきます。
それだけでなく便利なものが街に増えて、
ボタン一つで音楽がかかり、物が買え、洗濯がはじまり、
自由自在に移動することも思い通りにできるようになっていきます。
そうなると、人は頭を使わなくなり、
言われたことだけを淡々とこなすようになるかもしれません。
これは機械が人間化していくと同時に、
人間が機械化していくことを意味します。
それが悪いとは言えませんが、
ただ本来であれば味わえていた人間ならではの喜びを、
味わえないまま時が過ぎていくとしたらもったいないなぁと思います。

そのためにも常に、ここをもっとこうしたら
「何かあるんじゃないかなあ」「何か起こるんじゃないかなあ」
と考えてみると、何気ないひとときでさえ、
少しおもしろくなるかもしれませんし、
思ってもなかったものに出会えるようになるかもしれませんね!


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