Web3とは何か?普及するための課題とその可能性

HOME>Journal>Web3とは何か?普及するための課題とその可能性

Web3とは?

オーナーシップという考え方

Web3はブロックチェーン技術を中心とした、DAO、トークン、NFT、DeFiなどの総称した名前と言えると思います。

いろんな捉え方があり、VRなどに代表されるような世界、ゲーム的なメタバース、ブロックチェーンやNF Tなどの投機的なイメージなどがありますが、Web3の本質はデータに対するオーナーシップをユーザーが持つことを選択できるということだと考えています。

Web3とは端的にはユーザーがオーナーシップを持ってデータを管理できる仕組みだといえると思います。

 

Web3の概念

私が個人的にWeb3で重要な概念は以下の3つに集約されると思います。

「信用に依存しない」トラストレス(trustless)

「誰でも参加が可能」パーミッションレス(Permissionless)

「非中央集権型で自律的」ディセントライズド(Decentralized)

これを完璧に作り上げているのが、Bitcoinだと思います。Bitcoinはトラストレスに誰でも取引ができ、誰でも参加が可能、そしてそれが全て自律駆動しています。

一番美しい形のDAOと言えます。

 

Web3以前とその後

Web3までの流れは以下のようにまとめられます。

Web1→Read Only

1990年〜1999年の初期インターネットで企業や一部の個人が一方通行に発信を行っていた時代でした。オープンな時代で、多くのユーザーが技術革新によるメリットと可能性を感じていました。

Web2→Read・Write

2000年〜2020年に発達したTwitterやFacebookなどのように、双方向からのコミュニケーションができるサービスが増えました。スマホの普及とともに広告モデルを主体としたサービスがグローバル化し、企業側に圧倒的なバリューと権利が生まれました。

Web3→Read・Write・Ownership

2020年から技術革新によりインターネットの一部をユーザーが所有できる、所有権を与える仕組み、考え方、思想、コミュニティ…

現時点ではどのような活用のされ方をするのが良いのか、どのような価値が生まれるのか、どのような運用方法が良いのか、は全てが未知です。現時点ではインターネットのWindows95が出る前のパソコンに近いと思います。立ち上げるにもコマンドを叩いて、インターネットにつなぐためにもモデムをつないで、IPアドレスを叩いて…など今から考えると面倒臭くて、マジョリティからすると使いにくいそんな状態です。

 

Web3の価値の源泉はコミュニティ

仮想通貨やトークンというとどうしても投機的な側面で取り上げられやすいですが、そこになぜ価値がつくかということを考えると非常にエモいものがあります。

Web3はネットワークを運営する組織とそのコミュニティに参加する人のインセンティブの価値連動の透明性が高く、運営とコミュニティが一緒にネットワークを拡大させることでトークンの価値が上がります。

トークンやNFTなどは、コミュニティに参加していることを見せたり、格好つけたり、自慢できるもの(Flexというスラングもあるらしい)で、デジタル上の資産と言えます。大事なのはトークンやNFTそのものに価値があるのではなく、コミュニティを価値の源泉にしているということです。

クリプト市場はかなりカオスに見えるが、裏にはしっかり人間が宗教や国などの共同体運営において、長年培ってきたロジックがあり、Web3は政府や会社よりも共同体の仕組みを上手くいかせる可能性のあります。

 

Web3以前にはどんな課題があったのか?

スマホにより加速したインターネット普及がもたらしたこと

2007年1月9日、ジョブズはiPhoneを発表して以来多くの人たちが、iPhoneを唯一のコンピューターとして使い、それに続くスマートフォンの普及によりインターネットの便利さが爆速で加速しました。

またFacebookやTwitterなどのSNSを、一般のスマートフォンユーザーも利用するようになると、飛躍的に情報の流通量が増え、ほとんどのサービスを無料もしくは低価格で使えるようになり、ユーザーの選択肢が増えて便利になっていきました。

一方、Web2においてはフリーミアムなビジネスモデルが多く、サービスの利用や情報が無料で提供される代わりにユーザーの行動履歴やパーソナル情報に基づいた「広告モデル」が覇権を取りました。

 

広告モデルがもたらす個人データに対する影響

広告モデルは基本的にユーザーの興味や関心、過去の行動というような個人情報を多く取得できたプラットフォーマーが勝者になるというゼロサムゲームの経済が働くようになり、市場を勝ち取った巨大なプラットフォーマーが個人情報を保持してコントロールしているという状態にあらゆる懸念が起きるようになりました。

例えばFacebookのCambridge Analytica事件などが決定的な引き金になり、EUによるGDPRのように、プラットフォーマーに対抗した個人データ(個人情報)の取扱いに関する規制強化の動きへとつながっています。

Web2時代に生まれたインターネットにおける課題は主に3つありました。

 

膨大な個人データを特定の企業が独占している

経済力学で一種の独裁のような状態の経営者や資本家が生まれていること、そしてそのような特定の企業に個人の膨大な情報や場合により命や国家を揺るがす情報やデータが握られている

 

ユーザー側にデータをコントロール権限がない

もし経営が間違った判断をしたときにそれを止める術をユーザー側が持っていない

 

経営側のポリシーを信じるしかない

企業の状態により経営者やリーダーの鶴の一声で悪く活用される可能性があり、経営者の正義感や道徳観に全人類が頼っており属人的に依存するという

 

これは全般的に経営側が悪いのではなく、資本主義や株式会社という仕組みそのものが持つインセンティブ構造にう課題がありました。そして私個人としてはこの資本主義の形を否定している訳ではありません。ただそれしか選択肢がないということに他する課題はあると考えています。

 

ユーザーがWeb上でオーナーシップを持つことで起きる変化

インターネットが出てきた時には多くの人が既存のメディアや企業が持つ集権的な社会の転換につながると考えていました。しかし蓋を開けてみると、GAFAMのようにより巨大な超中央集権な企業が圧倒的な力を持つ世界になっていました。

Web3はその社会構造を変える新しい波になり得る技術です。
Web3を加速させたのはコロナ禍を人類が経験したことは大きい力になっていると思います。コロナ禍により、人々の生活の変化が加速しました。

みんなが感じていることは、「コロナ前には戻れない」ということ。生活と仕事の優先順位が変わり、生活パターンが変わり、時間の使い方が変わり、今まで犠牲にしていたり二の次にしていたものを大切にするようになりました。それゆえに消費者や社員にとってお金だけが価値とは言えない状況が複合的に表出してきました。

資産を増やしても人は幸せになれないことが研究結果でわかっています。サブスクリプション、シェアリング、ノマドなど、モノを持たず、シェアしたり、移動しながら身軽に人生を生きる人たちが増えています。その場所やその瞬間の体験や時間に価値が生まれています。リモートワークや副業、フリーランスなど働らく時間も場所もみんな違うというのが当たり前になりました。

SDGsやLGBTQ、ダイバーシティやインクルーシブな社会、リモートワークや二拠点居住など、生活や人生のQOLを向上させたり、社会課題について関心をもつ人たちが増えて、価値あることにフォーカスが当たる時代です。

例としていえばイーロン・マスクは2022年現在、世界一の資産家となりましたが、イーロンの会社は巨額の赤字を垂れ流しています。経済的にいえば価値を出しているとは言えない状態ですが、そこにお金が集まっているという現実の一つを見ても、明らかに10年前とは資本主義における価値の考え方が変わっています。

 

Web3で変化するユーザーエクスペリエンス

オンラインサイトでクレジットカードなどで決済する場合、次のようなフローが必要となります。

  1. 個人情報を入力し、アカウントを作成(要入力)
  2. 電話番号やメールの本人確認(要入力)
  3. クレジットカード情報を入力(要入力)
  4. 決済実行(1-Click)

ブラウザの自動入力などがあれば、入力はだいぶ簡略化されますが、どうしても面倒くささを感じてしまうタスクです。

web3の世界では決済フローは以下のステップになります。

  1. Walletとサービスをコネクト(1-Click)
  2. 「購入」→「署名」を実行(1-Click)

決済のスピードが圧倒的に速いし、初めてのオンラインサイトで個人情報を入力するのは少し不安があることがありますが、匿名で購入することができます。

このようにWeb3ではユーザーがデータのオーナーシップを持っていることにより、今までプラットフォームやサイトに提供していた個人情報を、秘匿性を保ちながら決済することも可能になる技術です。

 

Web3が普及するための課題

Web3が一般に普及するにはまだまだ技術革新とUI/UXの改善が必要です。主に課題は次の2つだと思います。

  • ウォレット-Wallet
  • ガス代 -Gas Fee

UIの改善が必要なWallet

主流なMetamaskなどのWalletがありますが、シードフレーズという乱数の長い文字列を自分で保存、管理する必要があります。このように通常SNSやサービスを使うのとは異なるキーワードや行為を求められるので、一般ユーザはこの時点で戸惑う人が多いのかなと思います。そしてシードフレーズを忘れるなどすると、保有しているトークンや NFT に永遠にアクセスできなくなるという、事故も起こり得ることを考えると、Web3が一般に普及するためにはこのWallet全般の技術革新とUI/UX改善が必要です。

日本で話題になったSTEPNなどはこのWalletの面倒なところを感じさせない工夫されたUI/UXになっていてすごいなと思っていますが、でも多くの人にはまだハードルがあるのがこのWalletだと思います。

 

手数料にしては高すぎるガス代

ブロックチェーンはブロックチェーンを動かすほどガス代が必要になります。マイナーは手数料を多くもらえる取引からマイニングをするので、規模が大きくなると、取引が多くなり、未マイニングの取引が溜まります。手数料が低い取引はいつまでたっても完了しないということになるため、取引を通すためには手数料を高くします。特に人気のイーサリアム(ETH)ネットワークなどでは、何かNFT購入しようとすると時間帯や取引内容により手数料で数万円いくこともあり、なかなか一般の人が手を出しにくい理由になっていると思います。通常の資産運用と比べると、資産増やそうと思っているのに手数料で目減りするという、ことも十分ありえます。

ただこの辺は今後技術革新で改善されるものだと思います。Webサーバーも以前は高いものでしたが、今や一般の素人でもサーバーを触れるぐらい安く、手軽に扱えるようになっていることを考えると、この問題もいろんなネットワークで間違いなくアップデートされて改善されるものです。

 

まとめ

Web3の概念や技術が今後どのように発展していくのかはわかりません。いろんな使い方をみんなが試しているという段階です。

しかしこのWeb3というおそらくインターネットを超えるビッグウェーブこそ、日本にとっては最大のチャンスなんじゃないかと思います。日本では現在円安が進み、人口も減り労働人口の減少、高齢化によりかつてのものづくりさえ既にグローバルに遅れをとっている日本、経済力の減退に伴い国際的に弱い立場になる日本ですが、Web3で逆転できる可能性があると思います。

日本のアニメや漫画、ゲームという強力なIPコンテンツは、日本のクリエイターたちのコンテンツ力を表しています。そしてその文化が染み込んだ日本は、間違いなく世界トップクラスのクリエイティブな国です。

ブロックチェーン技術により日本が今持っている圧倒的な資産を世界に流通させることができれば、新しい外貨獲得の強力な手段となりますし、新しい産業の可能性が広がっていると思います。

Feature

Latest

Category

Archives

Please feel free to contact us