ロイヤルティプログラムというのは、新しい概念ではありません。
昔から日本にも商習慣としてあるものとして
・2個買うと1個おまけがつく
・おまけ付きお菓子
・お歳暮やお中元で取引先に贈り物をする
なども言ってしまえばロイヤルティプログラムの一つと言えるかもしれません。
ロイヤルティプログラムは今後多くの企業が取り込んでいく重要なツールだと考えているので、現状の今後の展望について書きたいと思います。
ロイヤルティプログラムとは?
ロイヤルティプログラムとは、顧客のリピートやアップセルを促すために、顧客満足度やブランドへの感情的な価値を高めるためのマーケティング戦略です。
手法としては商品の割引、ポイント、無料サービス、アップグレードなどを提供することで、顧客のエンゲージメントを向上させ、長期的な関係を築くことを目指しています。
日本ではTポイントプログラムのように、顧客のロイヤルティを高めるために、参画企業の店舗で買い物をすると、ポイントが貯まり、貯まったポイントで支払いやお得なサービスが受けられるというのも、ロイヤルティプログラムと言えます。
ロイヤルティプログラムが求められる理由
では今までもいろんな形のロイヤルティプログラムがあったにもかかわらず、近年、多くの企業がロイヤルティプログラムを導入する流れが加速しているのはなぜでしょうか?
それは消費自体がコモディティ化し、購入というゴールだけでは顧客のエンゲージメントを高められないということがあります。どこでも同じような商品を同じような価格で買えるようになってくると、なぜこのブランドやサービスを買うのか?という付加価値が求められていると思います。
また多くの人が個々のスマートフォンを持つ時代になり、パーソナライゼーションや個人のニーズを捉えていくということが技術的にも可能になってきており、より顧客とのLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)をバリューアップさせていくことに、より企業として投資する価値が出てきたということも言えると思います。
ロイヤルティプログラムが生み出す顧客エンゲージメント
ロイヤルティプログラムは、顧客に対してポイントや割引、特典を提供することで、長期的な関係を築くための仕組みです。新規顧客を獲得し続けることには限界があります。顧客のリピート購入を促し、購入単価を引き上げることにより、ビジネスの成長につなげようとしています。
Antavoの「ブランドロイヤリティ統計2022」によると、以下のようなデータが示されています。
- 顧客ロイヤリティプログラムへの参加意向は、過去5年間で39%も増加しており、その需要が高まっていることがわかります。
- 75%以上の消費者は、ロイヤルティプログラムを提供する企業から購入する可能性が高いと回答しています。これは、消費者が特典や割引を重視していることを示しています。
- 顧客が継続的にプログラムに参加する理由として、58%が「割引や特典」、37%が「無料サンプルやプレゼント」、そして31%が「専門的なアドバイスやサポート」を挙げています。
これらの統計データから、ロイヤルティプログラムは顧客満足度を向上をドライブさせる機能があり、顧客満足度が高まると、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得が期待できることがわかります。そのため、企業にとってロイヤルティプログラムの導入は、競争力を維持・向上させるために必要不可欠な戦略となっています。
ロイヤルティプログラムの種類と事例
ロイヤルティプログラムはある程度パターンがあります。
ポイントプログラム
顧客が購入するごとにポイントを獲得し、後で特典に交換できるプログラムです。
事例:Starbucks Rewards
Starbucksのリワードプログラムでは、購入ごとにスター(ポイント)が貯まり、特典と交換できます。さらに、アプリを利用することでオンラインでの注文や支払いが可能になります。
会員ランクプログラム
顧客の購入履歴や活動に応じてランク分けし、特典を提供するプログラムです。
事例:Marriott Bonvoy
Marriott Bonvoy(マリオット・ボンヴォイ)は、ホテル滞在やレストラン利用でポイントが貯まるティア制度を採用。ステータスが上がるごとに特典が増え、より快適な滞在が楽しめます。
ミッション主導型プログラム
顧客が特定のタスクを達成することで報酬を得られるプログラムです。
事例:Nike+ Run Club
Nike+ Run Clubは、ランニングアプリを通じてユーザーが運動データを共有し、目標達成やランニングチャレンジに参加することで他社アプリ・サービスのディスカウントを受けられるというプログラムを提供しています。
購入額ベースプログラム
顧客の購入金額に応じて報酬が提供されるプログラムです。
事例:Azerbaijan Airlines
Azerbaijan Airlines(アゼルバイジャン航空)の「Azal Miles」は購入金額に応じてマイルが貯まります。貯まったマイルは、フライトのアップグレードや無料チケット、さらには提携企業のサービスや商品に交換することができます。
ゲーミングプログラム
買い物にゲーミフィケーションを取り入れ、楽しみながら報酬を得られるプログラムです。
事例:Moe’s Southwest Grill
Moe’s Rockin’ Rewardsでは、アプリをダウンロードしてMoe’sでの購入やチェックインしたり、アプリ内のゲームをプレイすることで追加ポイントを獲得することができます。貯まったポイントは、無料の食事や割引などの特典に交換することができます。
無料特典プログラム
会員登録や購入時に無料で特典が提供されるプログラムです。
事例:Sephora Beauty Insider
Sephora(セフォラ)のビューティーインサイダープログラムでは、会員登録や誕生月に無料の特典が提供されます。その他にも商品購入でポイントを獲得し、それらのポイントを報酬と交換できたりなどのロイヤルティプログラムを展開しています。
コミュニティプログラム
ブランドやサービスに対する共感を通じて顧客同士のつながりによりエンゲージメントを高めるプログラムです。
事例:Peloton
Peloton(ペロトン)は、エクササイズバイクやトレッドミルを購入すると、ペロトンのコミュニティに参加でき、オンラインでのクラスや他のメンバーとの交流ができるメンバーシッププログラムです。
お友達紹介プログラム
顧客が友人を紹介することで報酬や特典が得られるプログラムです。
事例:Dropbox
Dropboxは、友人や知人を紹介することで、紹介者と紹介された人双方に追加のストレージ容量が提供するプログラムを提供しています。
サブスクリプションプログラム
定期的な支払いで特典やサービスが提供されるプログラムです。
事例:Costco
Costocoは、年間会費を支払うことで、会員特典や割引価格で商品を購入できるプログラムを提供しています。
キャッシュバックプログラム
購入時に一定の割合で現金が戻ってくるプログラムです。
事例:楽天
楽天は、自社のネットワークのサイトや提携サイトでのサービスや商品の購入、楽天カードの利用により、ポイントが貯まり、キャッシュバックされるプログラムを展開しています。
NFT・Web3プログラム
仮想通貨やNFTなどのブロックチェーンを活用したトークンによるロイヤルティプログラムです。
事例:Bored Ape Yacht Club
Bored Ape Yacht Clubは、独自のNFTアートコレクションを持つオンラインコミュニティです。メンバーは限定のアートやイベントへのアクセスが可能であり、ブロックチェーン技術を活用して独自のデジタルアイデンティティを構築します。
顧客ニーズを捉えるためのデータ分析の活用方法
顧客ニーズを正確に把握し、適切なロイヤルティプログラムを提供することは、顧客満足度やブランドロイヤリティを向上させるために欠かせません。データ分析を活用することで、企業は顧客の行動や嗜好を理解し、そのニーズに応じたプログラムを提供することができます。
購入履歴の分析
顧客の購入履歴を分析することで、彼らの嗜好や消費パターンを把握できます。これにより、顧客が興味を持ちそうな商品やサービスを見つけ出し、個別化されたプロモーションや特典を提供することができます。Antavoの調査によれば、80%の消費者が個別化されたオファーに対して好意的であり、より高いエンゲージメントが期待できます。
デモグラフィックデータの活用
顧客の年齢、性別、地域、職業などのデモグラフィックデータを分析することで、ターゲット層の特性を理解し、それに合ったマーケティング戦略を立案できます。例えば、若年層に人気のあるソーシャルメディアを活用したロイヤルティプログラムを提供することで、彼らのエンゲージメントを高めることができます。
ソーシャルメディアの分析
ソーシャルメディアでの顧客の発言や行動を分析することで、彼らの意見や感想を直接把握することができます。これにより、顧客のニーズや不満点をリアルタイムで捉え、プログラムの改善や新たなプロモーションのアイデアを得ることができます。
顧客満足度調査
定期的に顧客満足度調査を実施し、顧客の声を直接聞くことで、プログラムの効果や改善点を把握できます。顧客の意見を反映し、プログラムを改善することで、より高いロいブランドロイヤリティを獲得することができます。実際に、顧客満足度が1%向上すると、企業の収益が最大で2.37%増加するという研究結果があります。
A/Bテストの実施
顧客ニーズに合わせた最適なロイヤルティプログラムを見つけるために、A/Bテストを実施して効果を測定することが重要です。異なるプロモーションや特典のバリエーションをテストし、顧客エンゲージメントや売上に与える影響を比較することで、最も効果的なプログラムを見つけ出すことができます。
データ分析を活用して顧客ニーズを捉えることは、企業が競争力を維持し、成長を続けるために不可欠です。顧客の購入履歴やデモグラフィックデータ、ソーシャルメディアの分析、顧客満足度調査、そしてA/Bテストを実施することで、より効果的なロイヤルティプログラムを提供し、顧客とのつながりを強化することができます。
今後のロイヤルティプログラムのトレンドと展望
ロイヤルティプログラムは、顧客満足度やブランドロイヤリティを高めるための重要な戦略です。今後も進化し続けるロイヤルティプログラムのトレンドと展望について、以下にまとめました。
オンラインとオフラインの一体化
オンラインとオフラインの境界がますます曖昧になる中、顧客はどちらのチャネルでも一貫したサービスを求めています。今後のロイヤルティプログラムは、オムニチャネル戦略を強化し、顧客がどこでも簡単に利用できるようになるでしょう。
パーソナライゼーションの重要性
顧客のニーズや好みに合わせた個別化されたサービスが求められるようになり、データ分析を活用してパーソナライゼーションを実現することが重要です。今後は、より高度なパーソナライゼーションが実現されることで、顧客とのつながりが一層強化されるでしょう。
テクノロジーの活用
AIやブロックチェーン技術などのテクノロジーがロイヤルティプログラムにも活用されるようになります。例えば、AIを使ったチャットツールが顧客サポートを向上させたり、ブロックチェーン技術を利用したデジタルコレクションが新たなエンゲージメントを生み出すでしょう。
環境や社会貢献を重視したプログラム
環境や社会貢献に関心を持つ消費者が増える中、企業はこれらの価値観を取り入れたロイヤルティプログラムを展開することが求められます。エコフレンドリーな製品やサービスへの特典付与や、寄付を促すプログラムが普及するでしょう。
ゲーミフィケーションの活用
ゲーミフィケーションを取り入れたロイヤルティプログラムが、顧客エンゲージメントを高める手段として注目を集めています。ポイントやバッジを獲得する楽モバイルアプリの活用
スマートフォンの普及に伴い、モバイルアプリを活用したロイヤルティプログラムが一層重要になってきます。顧客はアプリ上でポイントや特典を簡単に確認・利用でき、またプッシュ通知などでタイムリーな情報を受け取ることができます。今後は、より使いやすく便利なモバイルアプリが開発されることで、顧客とのつながりが強化されるでしょう。
コラボレーションとパートナーシップ
異業種とのコラボレーションやパートナーシップを通じて、新たな価値を提供するロイヤルティプログラムが増えることが予想されます。これにより、顧客にとって魅力的な特典やプロモーションが提供され、さらなるエンゲージメントが期待できます。
これらのトレンドと展望を踏まえた上で、企業は顧客とのつながりを強化し、ロイヤリティプログラムの成功を追求することが求められます。データ分析やテクノロジーの活用、そして顧客ニーズに応じたプログラムの提供に取り組むことで、今後も競争力を維持し続けることができるでしょう。
ロイヤルティプログラムを実現するためのツール
最後にロイヤルティプログラムを構築するためのツールをご紹介します。海外のものが多いですが、今後日本のサービスも増えてくることと思います。注目して参りましょう。
ツール名 | URL | 対象企業規模 | 概要 |
---|---|---|---|
Antavo | https://antavo.com/ | エンタープライズ | オムニチャネル対応のロイヤルティプログラムを構築・運用するためのプラットフォーム。パーソナライゼーションやゲーミフィケーションなど、顧客エンゲージメントを高める機能が豊富。 |
Yotpo | https://www.yotpo.com/ | エンタープライズ・中小企業 | ロイヤルティプログラムを含む顧客体験プラットフォーム。レビューやUGCの収集・管理が可能で、ブランドロイヤリティを向上させる。 |
Smile.io | https://smile.io/ | 中小企業 | ショッピングサイト向けのロイヤルティプログラムを提供するプラットフォーム。ポイントプログラムやリファーラルプログラム、VIPプログラムなどの機能が含まれる。 |
LoyaltyLion | https://loyaltylion.com/ | 中小企業 | eコマース向けのロイヤルティプログラムプラットフォーム。ショップの成長に合わせてカスタマイズ可能なプログラムを提供。顧客の行動や購入履歴を分析し、パーソナライズされた報酬を提供。 |
まとめ
ロイヤルティプログラムというと大手企業のものと思われていますが、LINEなどでも提供することが可能ですし、ツールも増えてきています。獲得した顧客をリピートしてもらうために、仕組みを作ることが大切だと思います。本記事が参考になれば幸いです。
参考記事:
Brand Loyalty Statistics 2022: It’s Time to Take Action
※本記事はChatGPTを活用して作成しています。