2024年、より混沌とする世界を眺める

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元日から大地震の緊急速報のアラートが頻回に鳴り続いたり、旅客機の衝突事故のニュースが速報されたり、慌ただしい日々が続く2024年の年初め。被災された方々や事故に遭われた皆様の安寧をお祈りいたします。

タイトルがふわっとした形になってしまっていますが、年始早々のニュースが物語るように、ビジネスやテクノロジーにおいても2024年は激動の予感がします。

突発的なニュースはカバーできませんが、変化のトリガーになる3つのポイントを押さえながら、2024年に起こり得ることを考えたいと思います。そして新しい社会のあり方や私たちの変化の先において、考えていることを書いてみたいと思います。

1.アメリカ大統領選挙の行方による混沌

画像引用元:CNNより

大きなトピックは2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙です。2024年の大統領選挙はアメリカ国民の50%を超えると予想される中で、アメリカ大統領選挙は「バイデン対トランプ」という構図が再現される可能性が高いと言われています。そして前回同様、両氏の支持率は拮抗しており、勝敗の予想は困難とのことです。

グローバルリスクになり得る選挙イヤー

また2024年は、アメリカ以外においても世界で70カ国以上で選挙が行われ、30億人超の人々が有権者となっていると言われており、グローバルが分裂していく選挙イヤーになりそうです。特徴的なのは2023年から続いている傾向として、左派右派に関係なく、現政権に対して国民の不満が高まっており、既成の権力構造やエリート層を批判し社会変革を目指す勢力が総じて支持を集めているということです。大きな変革の年になりそうな予感がしてきます。

生成AIによる情報戦争

加えて生成AIなどを活用した情報操作やディープフェイクなどの課題があり、選挙活動において、人工知能(AI)を巧みに利用した情報戦の中で正しい情報を見極めることがより困難になっていくと思われます。リテラシーの高くない一般市民が、人々の関心を集めることを重視したアルゴリズムやシェアやいいね!を促進するフィードを通じて、感情を掻き乱されて社会が混乱していくことも想定されます。

2024年はこのように多くの変数を抱えて、多様な背景を持った人々が誤報やデマにまみれた中で世界の秩序をどのように判断していくのか、民主主義や社会制度の分水嶺になる年になりそうです。

2.ビットコイン(BTC)がよりリアルワールドに影響を与える

ビットコインをはじめとするクリプト、オンチェーン周辺は、2023年は2022年のFTXの破綻以降、冬の時代を突き進んできました。とはいえ仮想通貨の裏側の技術面においては進化を続けています。冬の時代により投機的な金融としてのクリプトではなく、技術基盤としてのオンチェーン技術に純粋に向き合ったプロジェクトが増えたことはむしろ良いことだったかもしれません。

そして2023年の終わりあたりから、クリプト(crypto)冬の時代の終了の香りが方々からしています。

その一つがビットコイン(BTC)の価格上昇です。ビットコイン(BTC)の価格が上がっている要因として、主に以下の点があります。

2024年のビットコイン(BTC)の半減期

2024年に4年毎にあるビットコイン(BTC)の発行量が半減することにより、資産価値の増加が期待されていることです。過去の半減期は2012年、2016年、2020年にあり、その度にビットコイン(BTC)の資産価値は上がってきました。今回も同様に過去のビットコイン(BTC)の最高価格を更新することが期待されています。

ビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)承認への期待

早ければ2024年初旬には複数のビットコイン現物ETFが承認されるとの思惑が広がっています。よく「金」が2004年にETF承認された事例と比較されます。「金」の場合、20年間で約400%の成長を見せたようです。同様にビットコイン(BTC)がET承認された場合、現在でも実質的に「デジタル・ゴールド」としての地位を確立している状態ですが、より多くの機関投資家が大規模な取引を行うため、「市場」というリアルワールドに対して、長期的に大きな影響を与えることになります。

重要なのはブロックチェーン技術基盤の社会実装

この流れは単純にビットコイン(BTC)の資産価値が上がるということだけではないと考えています。不動産や貴金属、株式などの現実資産をトークン化したリアルワールドアセット(RWA)と呼ばれる資産にお金が集まることになります。そしてそれらを支えるブロックチェーン技術の発達とビジネスにおける実装、そして社会実装が加速することを意味しています。

ブロックチェーンを始めとする非中央集権を軸とする技術が発達することにより、資産の流動性の加速や取引コストの削減、オンチェーンでのID証明など、現実世界とデジタルの世界をつなぐ技術基盤が確立していく流れを加速させます。

ビットコインは AI の通貨となる?

またさまざまなタスクにおいて人間を超える人工知能と言われる「AGI」がデジタル上の取引通貨としてビットコイン(BTC)を活用することも考えられています。AIが自身のエネルギー源を長期間にわたって確保、維持するためには、通貨で取引する必要があると思われるからです。

2024年はリアルワールドとバーチャルが経済的にもつながりはじめる年になるのかもしれません。

3.生成AIのビジネスへの実装

2022年11月のChatGPTのリリース以降、生成AIが世の中に一気に広まり、2023年は多くの一般の人たちがAIと接点を持った年でした。そして多くのAIのスタートアップが誕生し、多くの企業がAI技術への投資に振り切っていました。そして多くの実験的なプロダクトやサービスがリリースされました。

2024年は先に述べたように、アメリカ大統領選挙を始めとして生成AIが現実世界で活用されて、大量のデータやコンテンツを生み出し、社会実装されていきます。それによる影響が生まれてくるとともに、ビジネスにおいても、実装されていくことでしょう。

人間の感情に寄り添うAIへ

生成AIの凄さは自然言語でAIとコミュニケーションができるという、インターフェース革命にあります。プログラミング言語ではなく、人間の話し言葉で人間と会話できるということは、スマホ以上に親和的にコミュニケーションが可能になります。

技術者の予想を上回るスピードで成長するAIは、より多くの混乱や課題を生み出しながら、より人間の感情や生活に寄り添うサービスに変化すると思われます。以前「her/世界でひとつの彼女」という映画がありましたが、同じようにAIと恋愛するとか、AIと結婚をするような流れが生まれてくるのだと思います。

孤独な男が、最新の人工知能OS「サマンサ」に恋愛感情を抱くストーリー

2023年は多くの企業が実験的に生成AIを導入していましたが、実際に商用としてビジネス利用されるケースが爆発的に増えて、私たちの日常でAIと接する場面がより増えることでしょう。そしてAIを活用した多様なユースケースが生まれてきて、それに伴う課題や問題が生まれると思います。それでもAIやロボットによる自動化は加速し、それに伴いビジネスモデルも激しく変化すると考えられます。

過剰な期待に対する失望

欧州連合(EU)は2023年12月、人工知能(AI)を開発したり利用したりする人々を規制する「AI規制法案(AI Act)」の包括的な法案の合意をまとめており、GDPR(EU一般データ保護規則)と同様、世界のスタンダードになる可能性があります。

このように人類がAIを受容する環境が整備される一方で、AIに対する期待が現時点では過剰になっているとも言えます。今後のAIが生み出す社会的なインパクトや人類に与える生産性や効率性のベネフィットは間違いないものの、まだまだAI自体が発展途上であるということを認識する必要がありそうです。

使い方により誤った情報を生成したり、AIがもたらすリスクも十分にあります。2024年はAIに対する期待と失望が入り混じって、AIのモデル的なユースケースが生まれたり、逆にNG活用事例などが人類での共有のナレッジとして蓄積される、そのような年になるのではないかと思います。

いずれにしても今後私たちは、多様性への理解と文化的な倫理観を一人ひとりが持ちながら、AIの社会実装やビジネスへの実装を見守る必要があると思います。そのためには、多くの人がAIと接点を持ち、AIを理解する必要があるのだろうと考えます。

作り手として、社会とつながる

このようにテクノロジーに対する期待と、急速の変化に伴う痛みと多大な代償コストを支払う現実が押し寄せるような社会の中で、私たちはどのように新しい価値を創り続けることができるのだろうか?ということを考えます。

月並みのことになりますが、私たちはより「誰のために」「どんな価値を提供したいか」、意志を持ってそして意図を持って価値を創り出すことを意識しないといけないと考えます。AIによる自動化で、物も体験もありふれる社会になっていく中で、意志こそがAIと人間を分ける本質的なもののような気がします。

全ての人は芸術家である

Joseph Beuys(ヨーゼフ・ボイス)

計画して物事を進めようとしている人は既にデザイナーである

Victor Papanek(ヴィクター・パパネック)

人は意識していなくても、すべての人が何かを創り出しており、すべての人は作り手です。

直接的に何かを創り出す、生み出す存在になる人もあれば、間接的に社会の視点を再編集したり、生成AIのような装置を使いながら、世の中に既にあるものを再発見したり、再生成、リデザインしたりして、新しい視点で世界を切り取る人もいるでしょう。そこには作り手として、意志を持って「作る」ということ自体が価値なのだと思います。多様な人がうごめく社会に対して、「自分はどうありたいのか」。その意志だけが人間を人間たらしめるものなのではないかと、考えます。

2024年はクラウドット株式会社としてのテーマは、「作り手として、社会とつながる」。

作り手には多様性があります。生成AIの登場により、その選択肢は多様になり、より多くの人が意識的に作り手となり、表現していくことを個々が引き受けるのかもしれません。

現時点で明確なイメージがあるわけではありませんが、会社という組織体を活用して、作り手としてどのように社会とつながるかを模索する年にしたいと考えています。

参考記事:

〈展望2024〉民主主義 史上最大の選挙イヤー

エリック・シュミット「生成AI時代の大統領選」に備える6つの提案

2004年上場「金ETF」の歴史が示唆する、ビットコインETF承認後の相場への影響

Bitcoin Will be the Currency of AIs

膨らみ過ぎたAIへの期待を調整せざるをえなくなる──特集「THE WORLD IN 2024」

※記事作成および画像作成にはChatGPT、Midjourneyなどの生成AIを活用しています。

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