【2025年2月】インタビューから見える、イーロン・マスクの視点/サム・アルトマンの3つの観察/DeepSeekの課題とAI開発競争について語る/トランプ政権の「New Media」多数のインフルエンサーが申請 etc…

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テクノロジーやマーケティング、トレンド、カルチャーなどのニュースをMonthlyで紹介する本シリーズ。2025年2月に社内で話題になったTOPICをダイジェストします。Weeklyで更新を予定していきます。

トランプ大統領、アメリカの商品先物取引委員会会長にブライアン・クインテンツを任命

トランプ大統領、アメリカの商品先物取引委員会の会長として、a16z cryptoのグローバル政策責任者のBrian Quintenzを任命しました。

a16z(Andreessen Horowitz)はCrypto専用ファンド を4本、運用しています。

Crypto Fund 1(2018年設立):3億5000万ドル
Crypto Fund 2(2020年設立):5億1500万ドル
Crypto Fund 3(2021年設立):22億ドル
Crypto Fund 4(2022年設立):45億ドル

これらを合計すると、a16zのクリプト専用ファンドの総運用額は約76億ドル(約9600億円)に達します。

この任命は、デジタル資産政策の提言や規制調整を行うための体制強化の一環と考えられます。アメリカの金融へのブロックチェーン技術への実装が進んでいきそうです。

BYD、全モデルに自動運転システムを搭載へ

Chinese EV leader BYD to offer ‘God’s Eye’ self-driving system on all models 

BYDは、最新の自動運転技術「God’s Eye」をすべての車種に搭載すると発表しました。

  • ハードウェアの仕様やスマート運転機能に関わらず、BYDの車はこの分野のすべての競合企業をリードしている(S&Pアナリスト)
  • 2024年、中国ではレベル2の部分的自動化機能を備えた軽自動車は中国市場の8.5%を占めている
  • DeepSeekの人工知能を自社の車両システムに統合

BYDは中国国内でもトップのEVメーカーになり海外展開もしているが、多くの国でTeslaの販売台数を上回ってきています。自動運転が普及するこの段階で、価格競争で自動運転において世界市場を獲りに行っています。

バッテリーメーカーとしてスタートしたBYDが、2003年に自動車事業に参入して、2024年、世界最大の自動車市場である中国で最大のEVメーカーになりました。

圧倒的な物量戦略で世界をとりにいく戦略は中国企業らしいですし、Deepseekに続き中国のインパクトが続きます。

WELT Economic Summitでのインタビューから見える、イーロン・マスクの視点

2025年1月28日に開催されたWELT Economic Summitでイーロン・マスクは、TikTok、ドイツの右派政党AfDへの支持、人工知能など、さまざまな現在のトピックについて語っていました。

スタートアップ

  • 「会社を立ち上げることはガラスを食べながら虚空を見つめるようなもの」
  • もし「会社を始めるべきかどうか」について励ましの言葉が必要ならば、その人は会社を始めるべきではない。

官僚主義

  • 物理学的「エントロピー」と同じくらい、官僚主義を排除するのは困難なものだ。
  • 不要な規制を削減するプロセスがなければ、最終的に「すべてが違法」になり、何もできなくなる。規制を作るプロセスだけではなく、定期的に「浄化プロセス」を行うことが不可欠だ。
  • トランプ大統領の関税政策
  • 彼の目標は、「アメリカ企業と他国企業が公平に競争できる環境を作ること」 だ
  • ドイツの歴史観について
  • ドイツの子供たちに「ドイツは世界最悪の国であり、罪の意識を持たなければならない」と教えるのは間違っている。哲学者、作曲家、科学者(例:アインシュタイン)など、ドイツの歴史はナチズムだけではなく、偉大な功績もあることを理解するべきだ

AIの未来

  • オープンソースのAIモデルは商用モデルに遅れを取っているが、この差は1年以内に埋まる

DEI

  • DEIやワークイズムは差別を加速させている
  • 人は能力と努力によって成功すべき

言論の自由

  • 政治的なバイアスがかかるので、政府が何が誤情報で何が誤情報ではないか決定すべきではない
  • 各地域の文化を残すために
  • 出生率向上・移民政策見直し・規制緩和・言論の自由の確保が必要

イーロン・マスクの考え方は非常にシンプルです。彼ならではの視点で世界を良い方向に持っていこうとしていることが感じられました。確かにイーロン・マスクはエゴイストかもしれませんが、でもそれが世界を動かしているのも事実です。

サム・アルトマンの3つの観察

Sam Altmanブログ

Sam Altmanのブログで「2035 年には誰もが、2025 年のすべての人と同等の知的能力を結集できる」と考察しており、AGI(汎用人工知能)がもたらす経済的影響についての3つの重要な観察と、それが社会に与える影響について述べています。

  1. AI モデルの知能は、トレーニングと実行に使用されるリソースのログとほぼ等しくなる
  2. AI を使用するコストは 12 か月ごとに約 10 分の 1 に低下している
  3. 直線的に増加する知能の社会経済的価値は、本質的に超指数関数的

社会への影響

  • 数年の経験を持つトップ企業のソフトウェア エンジニアが 2、3 日かかるタスクのほとんどを実行できるようになる
  • 世界は一挙に変わることはない、しかし社会と経済への長期的な変化は甚大なもの
  • 多くの商品の価格は最終的に劇的に低下する
  • Open AIが製品を頻繁にリリースする理由の 1 つは、社会とテクノロジーが共に進化する時間を与えるため
  • AGI の実現は個人のエンパワーメントに向かう傾向が重要になる

Sam AltmanがAGIに関して、10年後いかにAIが当たり前の世界になっているかを語っています。

AI知能のスケーリングと劇的なコスト低下、オープンソースにより技術が民主化されることにより、コントロールの権限が完全にユーザー側に与えられる流れは理想的ではありますが、ある意味、私たち側の倫理やリテラシーが求められると思います。AIをSNSのような感覚で使ってしまうとかなり複雑な課題を抱えることになるのではないかと感じています。

最近はリベラルアーツや倫理を学ぶことが注目されていますが、テクノロジーを理解しつつ人類にとって重要な判断を個々が判断するための、共通の知識基盤が必要だと感じました。

Anthropic CEO の Dario AmodeiがDeepSeekの課題とAI開発競争について語る 

Anthropic’s Dario Amodei on AI Competition

China TalkのPodcastにAnthropic CEO の Dario Amodeiが出演したインタビュー記事が公開されていました。話の中心は主にDeepseekのインパクトに対するものでした。

  • Deepseekへの世界の反応を見て、技術的な動向を誤って理解している人たちがいる
  • DeepSeek はタイミングが良かったが、コスト削減の曲線は、過去の AI で見られたのと劇的に変わったわけではない。他社が数十億ドルを費やしたものを 600 万ドルで作ったというわけではない
  • DeepSeekが中国で最も有能なプレーヤーである可能性は1年以上前から認識していた
  • 最先端に近いモデルを製造し続けるかどうかは、現在アクセスできているものよりはるかに大規模なチップにアクセスできるかにかかっている
  • もしアメリカが開発スピードを緩めれば、中国が先を越してアメリカを打ち負かすだろう
  • 技術開発に慎重に取り組みたいという考え方と矛盾するが、アメリカが中国より優位に立つことが非常に重要
  • モデルが強力になるほど、AIの安全の主張は、2つの競合する超大国が「技術を放棄するか、一定期間停止して慎重に構築しよう」と言わせるような説得力がない
  • H20 チップは推論には適しているが、トレーニングには適していない、H20チップは輸出禁止されておらず、開発された推論モデルの新しいパラダイムと関連しているはず
  • Huaweiのチップが近い将来に米国のチップに匹敵する可能性は低い
  • セキュリティの観点から見ると、オープン モデルとクローズド モデルの違いよりも重要なのは、モデルの強力さ。
  • 2年を超えるギャップは実現不可能。中国との技術格差は2 年のギャップを目指すべき
  • TikTok や Twitter がコードで社会が変化する訳ではないのと同様に、オープンソースかどうかよりも、私たちがそのテクノロジーをどのように使用するかが重要
  • 中国人とアメリカ人の対立ではない、国に対する敵意ではなく政府の形態と、彼らがテクノロジーをどのように使用するかに関する懸念を持っている

Deepseekのインパクトは重要なトピックですが、同時にAIの進化の技術的な側面と何が起こっているかを正確に捉えることは大切だと思いました。そして進化により起こるセキュリティや国際的なパワーバランスの課題を同時に考えることが、AIが持つ負の部分をコントロールするために重要なのだということを改めて考えさせられる記事でした。

映画の「Oppenheimer」ではドイツとの開発競争において、技術者による純粋な技術の追求と国家権威のための技術の活用の両面が、原子爆弾の開発を加速させたことが描かれていました。AI開発についても同様な局面を迎えており、AIにより加速している量子コンピューターの開発もサイバーセキュリティ上、非常に重要な分野になっていきます。

Google検索、ユーザーに代わってインターネットを閲覧し、Web ページを見て、答えを返す AI アシスタントになる

Google wants Search to be more like an AI assistant in 2025

検索製品は徐々に、ユーザーに代わってインターネットを閲覧Googleは、GoogleのCEO Sundar PichaiがAI 機能を検索に組み込む Google の計画を語りました。

  • Google検索はユーザーに代わってインターネットを閲覧し、Web ページを見て、答えを返す AI アシスタントになる
  • 10 個の青いリンクを表示する単純な検索システムではなくなる

その他のプロジェクトも進行中です。

Project Astra

  • カメラやコンピューター画面からのライブビデオを処理し、AIが見たものに関するユーザーの質問にリアルタイムで答えることができるDeepMindのマルチモーダルAIシステム
  • 将来的にはマルチモーダル AI システムを拡張現実スマートグラスに搭載

Project Mariner

  • AIエージェントの次世代の検索体験プロジェクト
  • ユーザーに代わってウェブサイトのフロントエンドを利用できるため、ユーザーがウェブサイトを自ら使用する必要がなくなる

Google 検索への AI への取り組みはうまくいっていないように見えます。でもAIが組み込まれたツールとして見ると総合的に強いのはやはりGoogle。

身軽なOpen AIとは異なり大企業でありながら、このスピード感でどれだけ進化できるのか?

「2025年は検索イノベーションにとってこれまでで最も大きな年の一つになる」というPichaiのコメント通り、2025年はGoogleにとっても大きな分岐点となる年になりそうです。

ファミリーマート、クリエイティブディレクターにNIGO®︎

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NIGO®︎ がファミリーマートのクリエイティブディレクターに就任

ファミリーマートは、グローバルで活躍するクリエイター NIGO®︎がクリエイティブディレクターに就任したことを発表しました。

  • 部門横断プロジェクトチームを発足の上、2026年春のデビューを目指し協業を進めていく
  • 次世代店舗および戦略商品カテゴリーのクリエイティブディレクター、マーケティングキャンペーンの監修、FamilyMartVisionによる次世代マーケティングの開発などで協業する予定

ファミリーマートは若い世代ほど支持が高く(20代26.0ポイント)、「フラッペ」は2024年に累計販売数が3億杯、「ファミマル」の売上比率は、2024年度8月末時点で前年度比36%と好調です。
店舗のメディア化を目指したFamilyMartVisionは来店客(1日約1,500万人)にリーチができます。

NIGO®︎ はA Bathing Ape(BAPE)の創業者、LVMHが所有するブランド KENZOのアーティスティックディレクターに就任しています。Louis VuittonのクリエイティブディレクターであるPharrell Williamsとは盟友関係です。ストリートカルチャー とラグジュアリーブランドの融合で、常にグローバルのカウンターカルチャーを牽引しているNIGO®。

ファミリーマート自体がカウンターのような存在だからマッチするコラボレーションだと感じました。

NIGO®をクリエイティブディレクターに迎えることで、ブランド全体の“クールなイメージ“をあらためて打ち出し、既存利用層だけでなくファッション感度の高い若年層を取り込む狙いだと思います。

FigureがOpenAIとの協力協定を解消、自社モデルに切り替え


Figure 公式サイト

FigureがOpenAIとの協力協定を解消し、自社モデルに切り替えるようです。

  • 30日後に、新しいヒューマノイドを公開するとのこと
  • 4年間で10万台のロボットを販売する予定

Deepseekのインパクトが出ているニュースだと思いました。今後Figureのように既存のAPIを利用した形から自社のLLMに切り替えていく企業が増えると思われます。

2024年のZ世代スクリーンタイムレポート

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The 2024 4th Annual Gen Z Screen Time Report

レポートはこちら『Gen Z Screen Time Report 2024

Z世代(ジェネレーションZ)向けのリサーチに特化したDCDXによるZ世代のスクリーンタイム事情のレポートです。

  • 2024年のZ世代の1日あたりの平均スクリーンタイムは約7時間22分(前年比+3.5%)
  • 週平均スクリーンタイムは約51時間46分(前年比+1.9%)
  • 年間112日をスマホの画面を見る
  • 最も利用されるアプリ(WAST: Weekly Average Screen Time)
    • 1. TikTok – 9時間24分
    • 2. Instagram – 7時間3分
    • 3. メッセージアプリ – 3時間56分
    • 4. YouTube – 3時間37分
    • 5. Safari(ブラウザ) – 2時間27分
    • WhatsAppの急成長(+233%):プライバシー意識の高まり。BeRealの完全な衰退。
  • Gen Zの1日の平均スマホピックアップ回数:158回(前年比+3%)。
  • 1日の平均通知数:192件(前年比-13%)。通知数の減少は、Z世代が通知設定を最適化し、集中できる環境を作ろうとしている兆候。
  • TikTokの成長が鈍化しつつあり、「アルゴリズム疲れ」の兆しが見られる。
  • Instagramの役割の変化:単なるエンタメではなく、自己表現・コミュニケーションツールとしての利用が増加。
  • 匿名性のあるプラットフォーム(Reddit、Discord)が人気:プライバシー意識の高まりによるもの。
  • SHEIN、TikTok Shopなどのアルゴリズムベースのショッピングが好調。
  • NYTimes, WSJなどの伝統的なニュースアプリをGen Zはほぼ使っていない。
  • 16-20歳と21-27歳の間でストリーミング習慣に大きな違いがあり、若い層ほどショート動画(TikTok, Reels)を好む。
  • スクリーンタイムを減らそうとする意識はあるが、実際の利用時間は増加。
  • Z世代はより「クワイエット(静かでコントロールされた)」なデジタル体験を求めるようになる(例:通知の削減、アルゴリズム依存の低下)。
  • プライバシー意識の高まりによるメッセージアプリの変化(WhatsApp, Signalの成長)。

上記を踏まえて、アルファ世代は、「超デジタル・ネイティブ」としてZ世代の思考が進化した世代としてマーケットに登場します。そこには再び圧倒的な世代間のコミュニケーションの壁というものが生まれます。管理者層にとってはより変化が求められる時代になりそうだと感じています。

Open AI、データ分析に最適化したAIエージェントDeep Research発表

Introducing deep research

Open AIはデータ分析に最適化したAIエージェントDeep Researchを発表しました。

  • 推論を使用して大量のオンライン情報を統合し、複数のステップから成る調査タスクを完了するエージェント
  • Pro ユーザーが利用可能

インターネット上でリサーチ可能なデータを探し出し、AIが推敲したものを、まとめてくれる形になっており、今までよりも深いリサーチと分析が可能になっています。今まで市場調査などにかかっていた人的コストを代替できるレベルまでAIが進化していることを示しています。

UberのFounderであるTravis Kalanick、食の未来を語る

UberのFounderであるTravis KalanickはCEOを務めるCloud Kitchensのビジョンと食の未来を語っていました。

  • 100年後には誰も食事を作らなくなる
  • 高品質な食事がローコストに手に入るようになる。なぜならロボット工学により全てが自動化され、コントロールされるから
  • ユーザーの食事の好みや食事制限を理解し、食品のためのインフラ、AWSのようようなものになる
  • レストランにも配送する
  • 料理は労働ではなく、愛情を示すための特別なものになる
  • ピックアップの方法として、スマートロッカーの販売を予定している

AIにより人間がする仕事が少なくなり、自動化で衣食住のコストが下がっていく未来になりそうです。
数十年先の未来では、「料理」という日常の活動も特別なものになっていくのかもしれないと思いました。

トランプ政権の「New Media」に7,400人以上のインフルエンサーが申請

More than 7,400 influencers applied for White House press credentials after Trump administration calls for ‘new media voices’

ホワイトハウスがコンテンツクリエイターやポッドキャスターなどの「New Media」に記者会見の枠を開放すると発表してから24時間以内に、7,400人以上のインフルエンサーが記者証を申請ました。

  • 新聞やテレビ以外の非伝統的なニュースメディアを利用する若者層やその他の層にリーチすることが目的
  • 2020年から2024年にかけて、TikTokでニュースを得る成人の割合は3%から17%に急増している
  • トランプ氏の再選においてインフルエンサーは重要な役割を果たす存在だった。2024年の選挙では 18~29歳の若者の43%がトランプ氏に投票 し、2020年の36%から 7ポイント増加した

アメリカの報道官が20代のキャロライン・レヴィットに変わって、政府とメディアの関係が変わってきています。特権的な位置にいた大手メディアを差し置いて、フリーランスやインフルエンサーに記者会見を開放し、さらに多くを取り込もうとしています。
「メディア = 権威」だったものがSNSにより個人の発信する時代になり、主導権が切り替わろうとしています。今まで権力としてのメディアとして偏向報道に対して、視聴者はそれを受動的に受け入れるしかなかったが、選択肢が増えることにより、主導権がユーザー側になってきていると感じます。

※本記事では一部でClaude、ChatGPT、Midjourney、DALL-E3などの生成AIを活用して作成しています

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