仕事中、上司や同僚とのやりとりで、
「そんな話聞いてないよ!」
「やれって言ったじゃん!」
という話になってしまったという経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか?
なぜ、このようなディスコミュニケーション(相互不理解)が起こってしまうのでしょうか。
今回はその原因と対処法をまとめてみました。
コミュニケーションの肝は「中身」と「文脈」
そもそもコミュケーションの目的は、メンバー内である特定の情報や知識、意思などを分かち合う(=相手と同じものを持つ)ことです。
しかし、この「相手と同じものを持つ」というのが案外難しいので、相互不理解に陥ってしまいます。
考えてみれば、人はそれぞれ個別の人生を送っているので、自分と同じ思考の枠組みを持っている人はいるはずがありません。
私たちはデータや事実といった情報そのもの(中身)と、その他の情報との関係性(文脈)のなかで情報の意味を理解します。
文脈があって、初めて人はその情報(中身)の意味を理解するのです。
だからこそ、中身と文脈の両方を適切に伝え、相手に情報の「意味」を伝えなければ、コミュニケーションは成立しないのです。
そして、文脈を正しく相手に伝える努力は伝える側もすべきですが、聞き手側も相手が話しやすい状況をつくる必要があります。
それでは、相互に協力して、より良いコミュニケーションをしていくための4つのポイントを紹介します。
「傾聴」は何よりも重要。でも難しい…
傾聴とは、一言で言うと、「相手の話をしっかりと聴く」こと。
簡単じゃん、と思った方もいるかもしれませんが、これがなかなか難しいんです。
一般的に、人は相手の話を聞いている時に、その内容を吟味したり、結論を予想したりしてしまいます。
これは、相手の話を(自分が)聞きたいように聞いている状態と言えます。これでは、とても相手の真意を汲み取ることはできません。傾聴するには、相手の話に全神経を集中させ、相手の話を理解しようと、相手の言葉だけでなく、表情や動作にも注意を払うことです。そうしてようやく傾聴している状態になります。
この時に重要なことは相手の話を受け止めて、共感してあげることです。
うなずきや復唱などを織り交ぜて、共感していることを相手に伝えれば、相手は承認されている感覚を持ち、自分の感じていることや考えをより素直に話してくれるはずです。
相手の真意を汲み取るための「質問力」
質問には大きく分けて、2種類あります。
オープン・クエスチョン(発散型、開いた質問)とクローズド・クエスチョン(収束型、閉じた質問)です。
オープン・クエスチョンとは、例えばこんな感じです。
A:あの対応は良くないと思うなぁ。
B:「あの対応」とは、どんな対応なんでしょうか?
A:やる気がないというか…
B:「やる気がない」という状態をもう少し具体的に教えてもらえませんか?
このように、自由に質問に答えられる問いがオープン・クエスチョンです。
相手の発言を深堀りする時に使われます。
特に、事実に対しては「なに?(What?)」を、意見に対しては「なぜ?(Why?)」と問うのが適していると言われています。
一方、クローズド・クエスチョンとは、以下のように、YES/NOで答えられる質問のことです。
A:要するに、いま優先させたいのは、仕事よりも子育てだと思っているのですね?
B:はい、子どもが生まれると家庭も何かと大変ですし…
A:大変というのは、奥さんの負担が大きくなっているということですね?
B:そうなんです。初めての子育てでやっぱり妻も大変じゃないかと…
このような質問をすることで、相手の真意と思われるポイントを絞ることができます。
オープン型とクローズド型を使い分けながら、相手の真意を探っていきます。
言葉が占める割合はたったの7%。「言外のメッセージを読み取る」
その他はというと、38%が音声、55%が表情や態度などのボディランゲージです。
LINEの登場で視覚的なコミュニケーションが若干補助されるようになりましたが、メッセージだけでのコミュニケーションがなかなか上手くいかないと感じたことのある人は少なくないはず。
非言語メッセージをの中でも重要なのは、口調、表情、態度の3つと言われています。
1つ目の「口調」とは、声の高低や大きさ、話す速度や間合い、声の調子、抑揚などの事です。
自分が納得していない議論の時には、声の調子が下がって抑揚も平板になります。
2つ目の「表情」については、「目は口ほどに物を言う。」ということわざがあるように、視線の方向や目の開き方などに注目します。
3つ目の「態度」では、相手が身を乗り出しているか、腕を組んでいるかどうかなど、人のポーズから相手の感情を読み取ります。
例えば、腕や足を組むのはブロッキングと言って、相手の意見に抵抗しようとしている印だと言われています。
上記のような非言語メッセージを適切に読めるようになると、いわゆる「空気を読む」ことができます。
要約や言い換え、比喩を用いて相手の話を確認する
ポイントを要約したり、別の表現や言葉の組み合わせで言い換えたり、比喩を用いたり確認をすることで、相手の話を上手く理解出来たかどうかを確かめる事ができます。
要約や言い換え、比喩が的外れになる場合は、相手の話の本質が理解できていないからです。
その際は、もう一度相手の話を聴くことをおすすめします。
まとめ
少しでも日々のコミュニケーションの役に立てば幸いです。
※参考文献