【コマーストレンド2023】ブランドは顧客のいる場所に行くべき
本記事はShopifyの2023年の年次レポートに基づいて、記事を作成しました。Shopifyの独自のデータ、アナリスト、グローバルブランドから引き出された、サプライチェーン、インフレ、マーケティング、ソーシャルコマース、リテールの 5 つの分野にわたる強力なインサイトから、最新のコマーストレンドを共有できればと思います。
ダイジェスト
想定外がニューノーマルな時代に
ビジネスにおいて変化することが前進する唯一の方法です。しかし64%の企業がパンデミックの悪影響から回復していません。2022年にはロシアとウクライナの戦争を起因とする資材不足や原価の高騰、インフレなどが世界で起きています。
一方で世界では2,970兆円のリテール売上高が生まれ、オンラインショッピングは前年比77%急増しました。ロックダウンや制限が何年も続いたため、人々は今、物理的なスペースやリアルな店舗での購入体験、つながりを求めています
世界的な景気後退が間近に迫っているため、ブランドは予期せぬ事態に対応するためアジャイルつまりなるべく小さな範囲で柔軟性を持たせることが重要になっています。
2025年には3,393兆円以上に達する見込み
コロナにより成長したeコマースですが、成長鈍化が見込まれています。それでも2020年と比較して 2025 年には15%増加し3,393兆円以上に達すると予測されています。
一方でインフレによる影響は必須
コロナウイルスが落ち着きを見せる世界情勢で、世界の懸念事項は物価上昇、インフレに対して現実的に景気後退に備えていると言う企業は71%にも上ります。不況は人間の感情が創り出すものでもあるので、人々の買い物方法にも、企業の支出にも影響が出るはずです。
消費者が意識しているのはプライスだけではない
消費者の70%以上が、過去1年間に人気ブランドの競合他社から購入しました。つまりブランドは消費者にはあらゆる選択肢があり、「ボタンをクリックするだけですべてを利用できる」ことを覚えておく必要があります。
消費者の消費意欲消が低下した場合、消費者はより良い購買体験を求めて競合他社に移動する可能性が高くなります。商品在庫が不足している場合は、46%の消費者が欲しい商品の在庫がある競合他社に乗り換えます。
消費者はすぐに購入できる便利さを望んでおり、70%以上が、閲覧しているサイトですぐに商品を購入したいと思っています。またグローバルで60%の消費者は新しいブランドや製品を見つける多面位SNSを利用しており、自分の買い物がパーソナルで、すぐ購入できて、すぐに届くというような、高価値の体験を望んでいます。
商売はどこにでもあります。購入ジャーニーは非線形です。
Shopify、製品小売およびメッセージング担当ディレクター
消費者だけでなく雇用にも影響するカスタマーエクスペリエンス
カスタマーエクスペリエンスの向上はグローバルビジネスの最優先事項です。消費者の経済状況、ライフスタイル、価値観に対する柔軟性やインタラクティブな変化は、雇用にも影響があります。従業員の2割にとって、働き方や場所が従業員を維持するための重要なファクターとなっており、店舗展開するブランドはこれを念頭に置く必要があります。
サプライチェーン
世界の消費者の60% が即日、翌日、多くとも2日での配送を期待していると言います。ブランドは消費者の求める購買体験のためにサプライチェーンのデジタル化を進める必要があります。
消費者の期待はますます高まっている
ジャストインタイム(JIT)製造は、トヨタが保管コストと廃棄物を削減する方法としてモデル化して以来、世界の標準的な方法になりました。一方、サプライチェーンはより複雑になり、サプライチェーン内の連携が多いほど、破損する可能性のある場所が多くなります。パンデミックは、それまで機能していたグローバルなサプライチェーンの脆弱性を大規模に露呈させました。
パンデミックに始まり、貿易摩擦、サイバー攻撃、気候関連の出来事などによる出入荷における港の混乱、輸送ルートの変更などは、消費者やマーケットプレイスが求めるクイックな配送と簡単な返品に対する期待に応えることを困難にしています。
1億8400万ドル2021 年の世界的なサプライチェーンの混乱による企業の米ドル収益の平均損失
Interos の年次グローバル サプライ チェーン レポート から引用
ブランドが消費者の需要を満たすためにできること
1.在庫を増やす
2022年春には80%の企業やブランドは在庫を増やし始めていました。在庫を綿密に管理して、過剰在庫を防ぎつつ、在庫切れによる消費者の機会損失を防ぐ努力が必要です。
2. 商品ソースの多様化
低コスト、生産力、信頼できる品質などだけでは差別化ができなくなっています。そこで製品の調達先を多様化し複数のサプライヤーまたは国から製品を調達したり、製品や原材料を近くで調達したりできるようにすることにより、コストを削減したり、リスクヘッジをしている企業が増えています。
3. 返品率を下げる
オンライン購入のユーザーの20~30%が返品します。返品にも多くのコストとリスクが発生します。返品が少ないということは、購入者の満足度が高く、輸送や梱包の環境的負荷、在庫管理への負担が少なくなることを意味します。
返品を最小限に抑えるために、詳細な製品説明、カスタマーレビュー、商品の360度ビューなどにより、消費者の期待値をコントロールし、返品率を下げるためのコンテンツをオンライン上に用意することがより重要になっています。今後はAR/VRなどの仮想現実および拡張現実市場は成長が見込まれており、2025年までに製品を購入する際に拡張現実を使用する消費者が増えると言われています。
一方、Zara などの一部のブランドは、返品手数料を導入しています。この傾向が拡大すると予測するアナリストもいます。
4.サプライチェーンのデジタル化
ブランドの1/3は、サプライチェーン内の手動プロセスをデジタル化すること検討しています。スキャンアプリや在庫管理の自動化、機械学習や人工知能 (AI) ベースの技術導入による、デジタル化の競合他社と比較して、ロジスティクスコストを15%、在庫レベルを35%、サービスレベルを65%向上させることができると言われています。
またロジスティクスのデジタル化とアウトソーシングすることにより迅速で信頼性の高い配送を提供することが可能です。
在庫をコントロールすることが重要
The Natural Patchという天然の接着剤を扱っているオーストラリアの企業は、3 か月分の在庫を残すことにより、マーケティングプロモーションやブラックフライデー前後の予期せぬ遅延や需要の急増に備えているということです。「私たちのルールは、在庫を切らしてはいけないということです」と Jankie 氏は言います。「在庫を切らすということはマーケティングを無駄にするだけではなく、キャッシュフローに対して大きく影響する。」
数年前なら、「COVID のせいで郵便料金の問題が発生している」と言って、問題を回避できました。消費者が、Amazon プライムのメンバーシップでその日に何かを手に入れることができることを知っている場合、それはもはや受け入れられる言い訳ではありません。
マイケル・ジャンキー ザ ナチュラル パッチの創設者
インフレ
パンデミックやロックダウン、ロシアとウクライナの戦争などにより商品の価格が急騰しています。そして中央銀行の金利が断続的に引き上げられており、過去40年間で最高のインフレとなっています。
2022 年には、消費者の40%以上が食料品店で低価格の自社ブランドに切り替えています。また35%のカート内の商品数が減少しており、50%のサイトのトラフィックが縮小し、コンバージョン率が低下しています。ブランドの73%のキャッシュフローに制限が生じており、企業の25%以上が景気の低迷により、2023 年の資金調達がより困難になると予想しています。企業の70%以上が、2023年の不況の可能性に備えています。
ロイヤルティの高い顧客に投資するべき理由
そのため多くのブランドは、売り上げを伸ばすために値下げを行っています。素早くそして大胆なコスト削減は大切ですが、ブランドは短期的な経済的影響の軽減と将来への投資の間でバランスを取る必要があります。ブランド資産に投資し顧客のロイヤルティを獲得することは重要です。
ロイヤルティの高い顧客を獲得することは、短期的な売上よりもはるかに価値があります。実際、ロイヤルティによって顧客の価値は22 倍になるとされています。彼らは購入する可能性が高いため、広告コストが低くなります。また彼らは値上げを受け入れます。ロイヤルティの高い顧客の40%は、より安価な競合が存在する場合でもブランドの製品を購入してくれますし、顧客の60% は自分の好きなブランドについて他の人にクチコミしてくれます。
キャッシュフローと顧客満足度を同時に高める方法
ブランドが価格を引き上げるべき理由
一部のブランドは、毎日もしくは毎週製品価格を変更しています。81%の企業が、インフレのために製品価格を値上げしたか、値上げを計画しています。日本で価格を上げるというのはブランド側もハードルを感じやすいかもしれませんが、買い物客のほぼ90%が「信頼できるブランド製品にはより多くの金額を支払う」というデータもあり、ブランドは顧客離れのリスクを抑えつつ、価格を引き上げることを検討すべきです。
価格を維持することもポジティブなシグナルになる
逆にOld Navyというブランドは、新学期の支出の負担を軽減するために価格を固定する、「Price ON-Lock」キャンペーンを行い成功しています。固定することをキャンペーンにすることによりお買い得感と支出を抑えたいファミリーの共感を創出した良い事例です。
健康と美容のブランドBootsも自社製品1,500点の価格を据え置きしたり、フランスの食料品チェーンのCarrefour S.AとカナダのLoblaw Companies Limitedは消費者がインフレを乗り越えられるように自社ブランド製品の価格を固定することにより、既存顧客にポジティブなシグナルを送り、新しい顧客を引き付けています。
配送料は値上げすべきではない
配送の値上げは避けるべきです。消費者は商品の価格よりも配送費に対して敏感です。ネットスーパーなどであれば地域での集荷や配送を含む無料配送オプションを付帯することにより、消費者はより頻繁に注文し、より高価な商品を購入し、平均注文額(AOV)を引き上げることができます。
送料無料のメリット
送料無料であれば人々はもっと注文します
送料無料の場合は約2.5 個の商品を注文するのに対し、有料の場合は2 個未満の商品を注文します。
送料無料であれば人々はより多くを消費します
人々は、有料配送よりも無料配送の方が、中央値の商品に3ドル以上多く支出します
送料無料であれば人々はもっと多く購入します
人々は、有料配送よりも無料配送の方が中央値の注文で22 ドル以上多く購入します
*これらの結果は、オンライン ストアによる条件付きの送料無料に関連している可能性があります (例: 「$x 以上の注文で送料無料」)。2021 年5月14日から 2022年7月7日までの内部の Shopify チェックアウト データから取得
ロイヤルティと消費を促進するための割引
新しい顧客を獲得するために膨大のコストをかけるよりも、既存顧客への販売を促進する方がコストパフォーマンスが高い結果が得られます。ロイヤルティの高い顧客に特別割引を提供することにより、関係性を強めると共に、より多くの支出を期待することができます。
まとめ商品でお買い得感を作ったり、期間限定セールによるディスカウントするなら、在庫商品の販売を促進できます。またPay-now-buy-later (前払い) プロモーションなら、ブランドと顧客にとってお互いウィンウィンの戦略です。ストアクレジットや、商品やギフトカード購入時のクーポン提供によって平均注文金額を増やし、キャッシュフローを改善することができます。わずかな割引で消費者にお得感を提供し、ブランドのキャッシュフローを速める簡単な方法です。
定期購入またはメンバーシップの追加
オンライン定期購入サービスや消耗品の商品の自動購入サービスは生活を楽にしたいという顧客のニーズに応えてる良い方法です。付加価値を提供しつつ、ブランドとしては安定収益が得られることにメリットがあります。特にペット商品や食料品のブランドは、定期購入を節約術としてマーケティングしています。中には、定期購入価格をサステナブルに据え置くと価格保証することで、定期購入者の登録訴求をしているブランドもあります。
商品やイベントなどへの優先アクセスなど、オンラインコミュニティでの特別感を魅力としてメンバーシップを提供するブランドもあります。スポーツウェアブランドのLululemonはメンバー専用の特典を用意し、今後5年間で顧客の80%がメンバーシップに登録すると予測しています。Lululemon Studioメンバーシップの有料会員プランは、世界有数のインストラクターによるライブストリーミングのコーチングセッションへの無制限アクセス、実店舗での体験クラスへの招待、店舗と提携スタジオでのディスカウントを利用できます。CEOのCalvin McDonald氏によると、Lululemon Studioは新規顧客の獲得とブランドロイヤリティの強化に貢献したということです。
ブランドはまた、景気後退を、ブランドの使命を果たさない非効率性とプロセスを削減する機会として利用しています。より多くのブランドが固定費を削減し、不況が終わった後でもより軽く運営できるようにします。
ワークフローの自動化
McKinsey によると世界のワークフロー自動化市場は、2022年から2030年までの成長率が23.4%と推定され、2030年末までに 7,880 万ドルに達すると予測されています。ワークフローの自動化することを目指すことにより、倉庫とフルフィルメントで起こり得るヒューマンエラーのリスクを低減し、リソースをより重要な部分に振り分けることが可能になります。
マーケティング
倍増するオンラインストア
2021年にはオンライン ストアの数が2020 年に比べて2倍になりました。2,600万を超える eコマースサイトが競争しており、毎日増え続けています。パンデミックの間、消費者の75%以上が新しいブランド、製品、または購入方法を試しました。ロックダウンが緩和され、国境が開放されると、購入者の41%がブランドへの忠誠心を捨て、新しい選択肢を選びました。
サードパーティCookieの廃止によるROASの低下
AppleとMozillaはすでにCookieを廃止しており、Googleは2024年に廃止予定です。
Appleが2021年4月に導入したモバイルアプリの端末情報追跡制限によって、FacebookやGoogleなどの広告主は一晩でターゲティングアルゴリズムの30%の精度を失い、推定100億ドルの広告収入が失われたと言われています。しかしブランドがプライバシーに配慮してデータを使用していると考えているユーザーはわずか33%がであり、今後も世界中でプライバシー規制が進むことは明らかであり、企業やブランドの95%のマーケティング担当者が潜在的な顧客をターゲットにすることがより困難になると考えてます。
パーソナライズ体験に対する消費者ニーズ
一方で消費者の71%は依然としてパーソナルな体験を期待しており、ブランドの81%は、ユニークでパーソナライズされた体験が重要であると考えています。課題は、マーケティングにおけるサードパーティ データの役割を置き換える新しい方法を見つけることです。
データ危機を解決できるか?
サードパーティデータを取得するコストは高くなる一方、多くの場合、期間が限定されていたり、正確性にも問題があります。一部の調査によると、企業は広告の効果を4,000% 以上過大評価しています。
多くのブランドは、独自の顧客データを収集しています。ファーストパーティデータは顧客データを完全に保持でき、データがいつ、どのように、なぜ収集されたかを正確に把握することができ、消費者が求める統合された透過的なヒューマンエクスペリエンスに応えることが可能になります。
消費者な新しいブランドを試すことにオープンである
最も厳しいロックダウンが緩和され、より多くのオプションが市場に出回ると、消費者の41%がブランドを切り替えました。パンデミック中、消費者の75%が新しい店舗、新しい商品、新しい購入方法のいずれで何か違うことを試しました。そして今はインフレにより、消費者は違う価値を求めており、変化に対してよりオープンになっています。消費者の3人に2人がより良い取引を求めてブランドを放棄し、58%がより高品質の製品を求めてブランドを切り替えています。
ブランドが協力してマーケティング競争に勝つ
フェスでは、複数のバンドで集客することによりお互いのファン層を送客しあいます。自動車ディーラーは同じ通りに店舗を構え、より多くのターゲットを 1 つのエリアに集め、取引の確率を高めます。
コラボレーションは、コンバージョンコストを削減しながら、双方のブランドに新しいオーディエンスへのアクセスを提供します。Adobeの元プロダクトマネジメントディレクターのAsa Whillockは次のトレンドは「企業がブランド間で緊密に協力し、安全で中立的な環境で (もちろん消費者の同意を得て) 解決済みのファーストパーティオーディエンスを交換すること」になると予測しています。
コラボレーションを実現する方法
1.他ブランドとのコラボレーション
New Balanceはコラボレーションを利用して、機能性を重視したスニーカーブランドからファッションに敏感な視聴者の共感を呼ぶブランドになりました。New Balanceはフランス発の新進ブランド Casablancaや日本のWTAPS などのアパレルブランドとのコラボレーションを通じて、ローカル市場にも進出しており、2023 年までに70億ドルの売り上げを目指しています。
2.クリエイターとのコラボレーション
消費者のほぼ1/3は、友人や家族からのおすすめよりもインフルエンサーのおすすめの方が重要であると考えており、企業の71% は、オンラインのインフルエンサーが将来さらに重要になると予想しています。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)はもっと強力なコラボレーターです。UGCはインフルエンサーコンテンツよりも8.7倍の影響力があります。ユーザーのレビュー、写真、ビデオ、ブログ投稿、コメント、共有、いいね! は、ブランドが作成したコンテンツよりも 消費者にとっては3倍信頼性が高く、公式のインフルエンサーコンテンツよりもほぼ6倍信頼性が高いと見なされます。消費者はブランドの一員であると感じることを好み、35歳未満の成人消費者の30~40%は、自分自身をコンテンツクリエイターだと考えているというのは興味深いです。
多くのZ世代のユーザーを利用するにはショート動画プラットフォームです。Z世代のほぼ40%がGoogle よりもTikTokとInstagramを検索に使用しており、61%がUGCの影響を強く受けていると述べています。
Gucci x North Face fashion collab はトレインスポッティングビデオで話題になった21歳のTikToker、Francis Bourgeoisをファッションパートナーとして採用しました。彼の動画は220万人のフォロワーと 3,750万の「いいね!」を獲得しました。
3.ロイヤルティ プログラムを再考する
エクスペリエンスに基づいた、ロイヤルティプログラムは数年以内にスタンダードになる可能性があります。Antavo が調査したグローバルブランドのほぼ72% が、既存のプログラムの刷新をすでに計画しています。またロイヤルティプログラムを持つ組織は、階層を提供しない組織と比較して、1.8倍高い投資収益率があるとしています。
顧客が 1 つの店舗だけでなく、ブランドのネットワーク内のどこでも特典を購入できるようになると、顧客エンゲージメント、満足度、および関連性が高くなります。
ソーシャルコマース
パンデミックの最初の年、eコマース市場規模は9,000億米ドル近く増加し、過去5年間でeコマースイノベーションと技術導入が急速に進みました。世界中で、すべてのカテゴリで新規消費者がeコマース市場に流れ込むという状況が確認されました。現在は成長が鈍化しているものの、2023年のeコマースの成長は、パンデミック前よりも5%高くなると予測されています。
SNSがブランドにとっての主戦場へ
多くのeコマース業者が飽和状態の市場で、カゴ落ち率が高く、注目を獲得したり、消費者のロイヤルティを高めるのに苦労している一方で、巨大なマーケットプレイスは利便性、スピード、低価格で優位に立っています。
SNSのユーザー数は、インターネットユーザーの数とほぼ同じです。Z世代のインターネットユーザーの95%が毎月SNSにアクセスしています。Z世代は現在、検索エンジンよりも頻繁にSNSを使用してブランドを調査しています。
SNSは、世界の消費者が製品を検索するために使用する2番目に人気のある方法です。eMarketer は、米国だけでソーシャルコマースの売上高が2023年には2020年の売上高の2 倍になり、560億ドルを超えると見積もっています。世界の売上高は2023年には1兆ドルを超え、2025年には2兆ドルを超える見込みです。
SNSマーケティングによる広告費の上昇
約1/3の企業が会社の成長を促すためにSNSマーケティングを強化すると予想されてます。これはSNSでのブランドとの良い体験で、消費者の78%の購入意欲が高まり、77%が競合他社よりもそのブランドを選択する可能性が高くなり、72%がより多くの支出をするようになるためです。
広告のリーチはすべての主要なSNSプラットフォームで伸びており、ブランドと新しい消費者とのつながりを作っています。一方で広告費も上昇しています。世界中のSNS広告への支出は、2020年から2021 年の間に38%以上増加し、2022年には約2,300億ドルに増加しました。
SNS広告は今後も有用なコマーストレンドですが、大手ブランドもデジタルプラットフォームを使用して、広告を超えた方法で消費者とやり取りしています。矯正下着と下着のブランドであるSkimsの共同設立者兼CEOであるJens Grede氏は同ブランドでは常に在庫が不足しており、パフォーマンスマーケティングは非効率で、長期的な目標に合わないと述べています。代わりに、矯正下着のユーザーコンテンツを作成してくれるオーディエンスを増やすことに成功しました。SNSを主体においた戦略により、顧客との強いつながりと記憶に残る体験を生み出し、顧客をリピーターにします。
ソーシャルコマースは進化する
ソーシャルメディアは、ブランドと消費者のコミュニケーションの方法を変えました。そして、web3 によってシームレスなつながりは、「メタバース」と呼ばれるバーチャル環境でより重要な機能となり、バーチャル空間の特徴となるでしょう。調査した企業の84% が、複数のチャネルをまたがってつながるブランド体験は、eコマースの未来にとってより重要になると考えています。
ゲームの世界はコネクティビティに優れたデジタル空間です。Fortnite は、革新的で没入型のソーシャル エクスペリエンスを提供する道を切り開いてきました。現在、毎月10億人の1/4以上のプレイヤーが Fortniteを利用しています。このゲームは、Fortniteの観戦モードと、数千万時間のFortniteストリームビューをサポートする多くのストリーミング サービスにより、非プレイヤーにも宣伝効果を生み出してきました。パンデミックによってオンライン イベントが一般的になる前から、1,230万人が仮想的にTravis ScottのFortnite ゲーム内コンサートの初日に参加していました。
毎月2億人以上のユーザーを誇る Roblox は、メタバース体験 (およびブランド化された世界) を作成して若年層を引き付けるもう1つのゲームプラットフォームです。Nikeは、顧客がデジタルアパレルの通貨に変換されるポイントを獲得できるスペースをメタバースに構築しました。メタバース市場は、今後数年間で爆発的に拡大すると予想されています。
成長するVR/AR市場
調査対象となったグローバルビジネスの意思決定者の3/4近くが、メタバースでの顧客との関わり合いが当たり前になると考えています。ブロックチェーンに対する積極的な投資が行われており、大手IT企業は、VR/ARの市場シェアを獲得する戦いに参画しており、多くの消費者は、物理的な現実と仮想現実が 10 年以内に置き換え可能になることを期待しています。
R/ARの世界市場は、79.2%という年平均成長率で成長しています。買い物客の1/3はすでにバーチャル リアリティを使用して買い物をしており、消費者がメタバースのポップアップショップを訪れるようになる日も近いでしょう。
インタラクティブなデジタル環境で顧客を驚かせる方法
1.消費者とリアルタイムでチャット
消費者の半数以上が、自分が選んだチャネルでカスタマーサービスに簡単にアクセスできることが重要であると述べています、10億人の消費者が WhatsApp、Messenger、Instagram でブランドに毎週メッセージを送り、サポートを求めたり、問い合わせをしたりしています。
2022年の第2四半期に、WhatsApp Business は最もダウンロードされたアプリのトップ10にランクインしました。
Telegramは世界中で7億人を超えるアクティブユーザーがおり、これは Twitterよりも45% 多く、 TikTok よりも速いペースでダウンロードされています。
中国では、世界のどこよりも多くのSNSショッピングが行われていますが、Metaが所有するプラットフォームでは行われていません。中国で最も人気のあるアプリであるWeChat のルーツはメッセージアプリですが、デジタルウォレットとオンラインショッピングハブの両方に進化しました。ブランドは、顧客のエンゲージメントを維持するために、ダイレクトチャットとしてプロモーションや最新情報を顧客に送信できます。
しかし、ほとんどの企業にとって、常時オンラインで顧客対応することは現実的ではありません。チャットボットは、オンラインショッピング中にリアルタイムでのサポートを希望する消費者の41%を満足させる1つの方法です。ほとんどの顧客は、簡単な質問がある場合、オペレーターを待ちたくない場合は、チャットボットとやり取りすることで満足しています。
チャットボットとチャット コマースの実験が増えることを期待しています。買い物体験がパーソナライズされると、消費者はより多くの買い物をします。AI は、製品やサービスを消費者に販売するいくつかの Web サイトでチャットボットを強化しています。この技術は上向きの軌道にあります。
ジェイ・レビット ロフタの創業者兼CEO
2.統合によるソーシャルコマースの合理化
SNSでの「今すぐ購入」ボタンや類似のショッピングツールは、シンプルに消費者の購入意欲に応える機能です。
動画からの購入リンクは、コンバージョン率が30%近くになると報告している企業もあります。中国のライブコマース市場は非常に大きく、中国国内のeコマース領域の他の部門を凌駕しています。ライブコマースは2019 年以降、米国とヨーロッパでも勢いを増しています。Facebook、Instagram、Pinterest、
クロスチャネル分析とコンテンツ管理は、ソーシャルコマースの成功の鍵となります。顧客がどこのチャネルにいても統合されたエクスペリエンスを提供できるようにするために、ブランドはSNSとそれ以外のチャネルの在庫とカスタマーケアを同期させています。
NFTが生み出すブランドロイヤルティ
NFT は単なる製品ではなく、製品、ゲーム、およびコードの間のどこかにあります。これらすべてを使用していない場合は、このメディアを最大限に活用していません。インタラクティブ性がすべてです。
Paul Budnitz Superplastic 社長、創業者兼CEO
コレクタブルなアーティストとセレブリティのコラボアートトイで知られるSuperplasticはNFTを活用してトークンゲートな機能により、限定コミュニティへのさまざまなレベルのメンバーシップとして機能しています。「Janky GAWDZ」と呼ばれるコレクターは景品や実体験イベントなど、このブランドが行うすべてのことが優先的に優遇される権利があります。SuperplasticのNFTを持っていなければ、店舗に特定の時間に入店することはできません。ウェブサイトも入場制限があり、NFTを持っている人だけが購入できる限定品があります。NFTは、単にデジタルアート作品の所有を意味するのではなく、コミュニティへの帰属意識をもたらすものとなっています。
Budnitz氏は「ブロックチェーンは、世界最大のオープンソースメーリングリストです。NFTを1つでも持っていれば個人データが保存され、無料特典などを進呈されます。…私たちの仕事は、NFTを販売し、アートワークを継続的にアップグレードすることです。他の取り組みともつながって、ますます楽しさが増します」と言います。
リテール
調査対象の企業の82% は、実店舗が将来のeコマースの成長において重要な役割を果たし続けると確信しています。実際、2021年に世界中でパンデミックの規制が緩和されると、実店舗はeコマースよりも速く成長しました。どの年齢層よりも多くの時間をオンラインで過ごすZ世代の買い物客の50%が実店舗での買い物を好んでいます。そして、彼らの購買力は拡大しており、現在彼らは3,600 億ドル以上の貯蓄と投資を持っていると言われています。
変化する小売の目的
実店舗への客足はパンデミック前のレベルと比べると数パーセント下回っています。しかしより多くのD2Cブランドがオフライン展開を拡大しています。
実店舗がオンラインチャネルに与えるプラスの効果は、「ハロー効果」と呼ばれます。実店舗の存在が、顧客との信頼を築くインタラクティブな看板の役割を果たすことで、オンラインでのプレゼンスを強化できます。ブランドが新たな実店舗を開店すると、その後の四半期でウェブトラフィックは平均37%増加します。
Shopifyの商品小売およびメッセージング担当ディレクター、Arpan Podduturiは「オンラインとオフラインは実質的に連続する1つの体験です。ほとんどのお客様が、オンラインで下調べしてから実店舗を訪れます。大抵はスマートフォンを使って情報を探し、ブランドをフォローします。そして、目的をもって店舗を訪れます」と話しています。
実際、米国の消費者のおよそ3/4が、オンラインまたは実店舗で購入する前に、オンラインで商品について調べています。
以前はお客様がブランドに足を運びました。しかし現在は、ブランドがお客様がいる場所に行く必要があります。ブランドはこれをすぐに取り入れていくべきだと思います。
Harley Finkelstein President, Shopify
いつでもどこでも買い物ができるようになった現在、リテールの主な機能はもはやトランザクションではありません。消費者の35%が店舗で買い物をする主な理由は体験を楽しむことであり、別の24%は購入前に商品を実際に触ってみたいと考えています。
多くの消費者は実店舗を訪れ、商品を実際に触って確認してから、オンラインで購入するというのがトレンドです。消費者は実店舗に足を踏み入れた段階で、探しているもののことをすでによく知っています。これからのリテールは幅広いニーズを満たしながら、ブランドにユニークな機会を提供します。
実店舗には、取引だけではなくさまざまな目的があります。たとえば、来店者に商品やサービスの使い方を説明したり、ネットワーキングイベントやトークイベントを開催すること、コミュニティを作るためのコラボレーションスペースを提供するなどがあり、カスタマイズされた体験が可能です。アンケート調査の対象となったグローバルブランドの82%が、2023年に対応すべき最も重要なニーズの1つとして、体験価値の向上に対する需要の高まりを挙げています。
人材の採用と確保は世界的な課題
一方で、ブランドの69%が、現在の市場で人材を発掘して確保することは難しいと回答し、67%はその結果として人手が不足していると回答しており、人材の採用と確保が、今世界中の企業が抱えている課題です。
パンデミックにより従業員の考え方と優先順位が変化し、若年層は他の世代よりも仕事に多くを求めるようになっています。Z世代とミレニアル世代は、より柔軟性のある働き方、優れた福利厚生、多くのチャンス、高い給与を求めています。
インフレや光熱費の高騰に加えて、2021年の大量離職の流れから、昇給を求める人や、収入を上げるために転職する人が増えています。人材確保の課題に対処するには、リテール企業は従業員をどのように評価し、給与を支払い、研修を実施し、成長の機会を提供するかを再考する必要があります。
実店舗に注目を集める方法
1.魅力的な店内体験をデザインする
リテールをさらに体験的なものにする傾向が強まっています。従来の対面でのやり取りを超えて顧客と関わり、店舗スタッフが「体験ホスト」として行動できるようにします。またバーチャルショッピング、ライブ チャット、来店予約などのオプションを用意しています。
インスピレーションを得るための、店舗体験の事例
- コーヒーチェーン、アートギャラリー、または他のブランドとのコラボレーションなどにより、店舗を「サードスペース」として使用して、来店数を増やします。Ralph Laurenはカフェを提供したり、UNIQLOは遊び場を店舗の一部に設置しました。
- 2022年に予定されていた46% のブランドはショールーム体験を提供することをプランニングしていました。ショールーミングは、従来の小売店よりも場所を取らず、関係構築を促進し、ブランドが顧客をよりよく理解するのに役立ちます。しかし、店舗への来店者が製品について知り、家に帰って競合他社から同様の製品をオンラインで購入する可能性がありので、モバイルPOSのようなテクノロジーを利用し、購入意欲の高い消費者がその場で購入できるようにします。
- 来店者を引き付けるために、多くのブランドは店舗のテーマやレイアウトを定期的に更新しています。マンハッタンを拠点とするリテールギャラリーのSTORYでは、1~2か月ごとに、新しいギャラリーの展示会のように、コンセプト、デザイン、商品のラインナップを見直し、それにより顧客の好奇心と関心をキープします。
2.テクノロジーの力を活用する
ブランドの40%以上が、2022 年に顧客の店内でのショッピング体験を向上させるためにテクノロジーに投資することを計画しています。
- Lifvsのような商品ベースの店舗での自律的でレジなしのショッピングは、スウェーデンの田舎に生鮮食品へのより良いアクセスを提供します。
- Glossierのようなハイテクで控えめな店舗は、柔軟性を求める買い物客にアピールします。顧客は、TikTok などのチャネルを通じてオンラインで調査の 90% を行い、店舗で製品を受け取ります。
- オンラインで購入し、店舗でピックアップまたは返品する。2021年、消費者の59% がオンラインで閲覧して店舗で購入する可能性が高く、54%が店舗で製品を見てオンラインで購入する可能性が高いということです。
- VR/ARを使用した没入型体験。2023 年までに130,000を超える店舗がこのテクノロジーを使用する予定です。
3.優れた顧客体験を提供するチームを維持する
消費者の少なくとも60% は、過去の優れた顧客サービスの体験が良かったという理由で特定のブランドから購入しています。優れた顧客体験は、従業員体験から始まります。優秀なチームを惹きつけ維持するブランドは、働き方の柔軟性、高い給与、他社に引けをとらない充実した福利厚生を提供します。
学習インセンティブは、雇用主、従業員、顧客など、すべての人にメリットをもたらすものです。従業員が新しいスキルを習得したり、マイルストーンに到達したりすると、雇用主は従業員の成長を認識して報いることができます。従業員の 25% が評価や敬意がないことを理由に仕事を辞めています。
一方で、仕事に意義を見出すとチームの意欲は高まります。雇用主は、会社の目標やコミュニティにどのように貢献しているかを伝えることで、それを強化できます。同様に、タイムラインや進捗状況を監視する一貫した方法など、キャリアアップのための明確な計画を提供することは、すべて人材の維持に役立ちます。従業員は、会社が自分に投資していることを知っていると、時間を投資して最高の仕事をする意欲が高まります。
4.レジを超えた接客
メッセージングアプリ、オンラインからの来店予約、デリバリーなど、さまざまなチャネルで人間味のある顧客対応は、変わらずリテールにおいて重要なポイントになります。
新しいテクノロジーを使用できるようにスタッフをトレーニングすることで、従業員の効率を高めることができます。従業員はこれらのスキルを身につけていればどこでも活用できますし、そのような役割は若い才能にとって魅力があります。従業員がより高い給与を求めているときには、クロスチャネルトレーニングは従業員のエンゲージメントを維持します。
アイドル状態の店舗スタッフをオンライン注文で働かせたり、オンライン部門とリテール部門と分けるのではなく、販売部門を1 つの「コマース」部門に統合することで、従業員のトレーニングがさらに促進されます。
今では当社の実店舗のお客様の大半がオンラインのリピーターになっています。ひとたび来店すれば、フィッティングをしてブラのサイズがわかるので、オンラインでリピート購入する方がずっと簡単になります。
Michelle Cordeiro Grant Lively 創業者
まとめ
コマースのトレンドについては皆さん実感値としてあるものが多いと思いますが、リサーチデータと組み合わせることにより、改めて自社のブランドや商品の販売戦略の参考になるものがあるのではないでしょうか?
販売チャネルやコミュニケーションツールなどが増え、限られたリソースでどこまで顧客満足度を狙うのかは戦略が必要ですが、成長するeコマース市場で、顧客に選んでもらい続けるためには、顧客のいるところにブランドがどこでもいく姿勢が大事だなと思いました。
※本記事では一部ChatGPTを活用して記事作成をしています。