【2024年9月】「ファウンダーモード」と「マネージャーモード」/ソーシャルメディアで動画を見る時間が増えている/Meta 社初の拡張現実メガネ、「Orion」発表etc…

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テクノロジーやマーケティング、トレンド、カルチャーなどのニュースを紹介する本シリーズ。2024年9月に社内で話題になったTOPICをダイジェストします。

中国、国内のAIスタートアップを強力に後押し

China Urges Local Companies to Stay Away From Nvidia’s Chips

中国当局が、AI半導体をアメリカのNVIDIA製ではなく、中国産の製品を購入するよう国内企業へ圧力を強めているという記事です。

・国内の半導体業界を拡大させ、米国の制裁措置に対抗する取り組みの一環
・国内のAIスタートアップ企業を不利にしたくない、アメリカとの緊張も回避したいという思惑

記事によると、アメリカの規制の一環もあり、NVIDIAも中国には低速なAIチップしか販売できない、ということなので、中国としても国内により注力するというのは必然なのかも知れません。中国のAI半導体の主要メーカーには、HUAWEI TechnologiesやCambricon Technologiesがあります。

Meta 社初の拡張現実メガネ、「Orion」発表

Meta’s big tease

Metaは「Orion 」という AR グラスの印象的なデモ動画をリリース。VR技術がどの程度進捗しているのかを内外に示す意図があったと思われます。

・Orion は顔に装着する高性能なコンピューター
・CEOのザッカーバーグ氏によると、人がARグラスを使いたいと思う2つの目的は、一つは現実世界に重ね合わせたデジタル情報(ホログラム)を通じて互いにコミュニケーションすること、もう一つはAIと対話すること。
・Orion のハードウェアはメガネ本体、メガネを制御するための「ニューラル リストバンド」、そして携帯電話用の大型バッテリー パックに似たワイヤレス コンピューティングパック の3 つの部分から構成されている。

いよいよスマホの次のデバイス、その近未来が見えてきたニュースでした。

一方、ザッカーバーグが「ホログラム部分は AI より先に実現可能になると思っていました」と言っているのが、テクノロジーの進化の速さとどの時期に実現するのかを読み切る難しさを感じました。

OpenAIの技術目標

OpenAI technical goals

Open AIが短期的、長期的な目標をプレスリリースしていたので共有します。

目標1: 進捗状況を測定する
目標2: 家庭用ロボットを作る
目標3:複雑なタスクを実行し、タスクが曖昧な場合はタスクの明確化を求めることができるエージェントを構築する
目標4::どんなゲームでも解けるほどの能力を持つエージェントを訓練する

多くの創業メンバーの離脱が続いているOpen AI。非営利組織から営利組織に大幅な方向転換を行なっていると見られます。

技術と倫理をどのようなバランスで展開していくのか、注視が必要です。

世界1位のYouTuber「MrBeast」の動画制作マニュアルが流出

How to succeed in MrBeast production

MrBeast が制作会社の新メンバー向けオンボーディングドキュメントがリークされ、Youtube動画の界隈の人の中で話題になっていました。

・A プレイヤーは執着心が強く、失敗から学び、指導を受けやすく、知的で、言い訳をせず、YouTube を信じ、この会社の価値を理解し、仕事では世界一です。B プレイヤーは A プレイヤーに育てる必要がある新人であり、C プレイヤーは平均的な従業員です。彼らは執着心が強くなく、学習意欲もありません。C プレイヤーは有害であり、すぐに別の会社に異動させる必要があります。(全員に退職金を支払えば大丈夫です。彼らは大丈夫です)。

・一人の人間が何かをしっかり把握することと、10 人のチーム全体が何かをしっかり把握することのどちらがより重要でしょうか。もちろん、チームです。チームを同じ認識に導く最も簡単な方法は、すべてをビデオに撮って、常に参照できる場所に保存することです。

・相手がそれを読んだことを確認しない限り、コミュニケーションとはみなされません。

・理想的には、費やしたお金がカメラに映るようにしたい。10,000 ドル以上を費やしてもカメラに映らないのであれば、真剣に考えてください。

どんなメンバーが良いメンバーか、どんな動画が良い動画か、チーム作り、どんなものを見せるべきか、MrBeastが世界一になるために、あらゆることを執拗にそして綿密に言語化し、進化した非常に特殊な企業文化を作ってきたのかが垣間見れます。特に印象的だったのは、コミュニケーションに関する多くの情報があり、「より高度なコミュニケーション形式」対面でのコミュニケーションに対して強い偏りが見られます。電話やテキストよりも対面のコミュニケーションを重視していることは、とても共感でき、MrBeast ブランドの強さの根源を見ることができました。

10億人のアクティブユーザーを抱えるなC向けスタートアップの時代の終焉

Andrew Chen-X

iPhone の発売から 15 年以上経過した現在、数十億人のユーザーを対象とするYouTube、Instagram、Linkedin、Snapchat のようなアプリを開発するには大きなハードルがあり、もはや不可能かもしれない、とa16zのパートナーAndrew ChenのXでのポストに考えさせられました。

・新しいアプリのアイデアにユーザーが飽きてきている。
・競争の激化により、顧客維持はかつてないほど困難、毎日価値を提供し続けないと、人々は TikTok や Instagram に戻っていく
・広告で収益化するとしても2つの課題がある、数千万人のユーザーを獲得する、そして数百万の広告主を引き付け広告市場、ターゲット システム、入札システムなどを構築する(数年かかる)
・ 簡単に成長できる時代はほぼ終わった、モバイル広告は高価でターゲットを絞りにくくなっていて、クリエイターやインフルエンサーは、一時的な流入にしかならない
・Monopoly Go、Draft Kings、Web3 ゲーム、Canva などの、顧客が直接支払いをしてエクスペリエンスをアップグレードできる製品が勝ち抜く可能性がある
・重要なのはユーザーの規模ではなく、ユーザーの質(およびARPPU)であり、ユーザーの上位10%でマネタイズできるようなビジネスモデルの構築
・友達みんなが使っているというより、出会い系アプリやValorantなどの特定のアクティビティや興味を中心にネットワークを構築の方が成長要件のハードルが低いし、成長が飽和状態にある世界では競争上の優位
・ユーザー一人一人の利便性に重点を置いたアプリや、Duolingoのようにゲームデザインの仕組み、多くのユーザーがコメントやいいねなどに依存するのではなく、ユーザーの定着率を高めるアプリ、AI を活用した生産性/ユーティリティのユースケースをターゲットにするアプリが増えると考えている

Andrew Chenはマーケットプレイス、マイクロ アントレプレナーシップ、ゲーム/エンターテイメント、次世代ソーシャル プロダクトなどのテーマに重点を置いた、初期段階の消費者向けスタートアップに投資して来ました。Clubhouse、Substack、Z League、Sleeper、Snackpass、All Day Kitchens、Sandbox VR、Reforge、Maven、Practiceなどの取締役をしている投資家です。

あらゆるセキュリティやプライバシーの規制もあり、テクノロジーはスタートアップにとって以前よりもハードルが上がっているのは確かです。

設立からわずか7年、インディーズ配給会社のNeonの軌跡

Behind Neon’s Banner Year and Rivalry With A24

A24とのライバル関係としてよく比較されるNeonについて特集されていて興味深かったです。

・Neonは、長編映画とドキュメンタリーの両方で115本の映画を公開し、アカデミー賞に32回ノミネートされ、ポン・ジュノ監督の画期的な映画「パラサイト 半地下の家族」で作品賞と監督賞を含む6回の受賞を果たした
・Neonは12人でスタート、まさにスタートアップで全員が洗練されたアメーバのように機能してきた
・NeonとA24は、2024年の国内興行収入シェアでそれぞれ10位と9位にランクされている、どちらもニューヨーク中心の会社
・A24は最初の7年間で、外国語映画3本とドキュメンタリー3本を公開したが、Neonは外国語映画32本とドキュメンタリー32本の合計64本を公開した
・Neonは「ロングレッグス」 のテレビ広告も出さなかったが、デジタル媒体でのゲリラキャンペーンは功を奏し、2,240万ドルの興行収入を記録し、2024年のオリジナルホラー映画としては最高の興行収入、ネオンにとっても記録的な興行収入となった

Neonは2017年に設立して以来、長編映画とドキュメンタリーの両方で115本の映画を公開しているということで、スタートアップさながらの裏側がとても面白かったです。ストリーミングの時代において、映画の体験やどのようにファンとの関係を持続させるかは、映画業界だけではない課題ですから、とても参考になりました。

Roblox、Developers Conference 2024を開催、Shopifyと連携でクリエイターへ新たな収益源を提供

Roblox Developer’s Conference 2024: Everything Announced

2024年のRoblox開発者会議が行われ、プラットフォームとしての成長と今後の展望が共有されました。

・自社のプラットフォーム上で有料のビデオゲームを展開し、開発者が作成したゲームを通じて物理的な商品を販売できるようにする
・Shopifyと提携し、来年初めに個々のクリエイターがゲームから直接物理的な商品を販売できるようにする
・過去12か月間にクリエイターコミュニティに8億ドル以上を支払った
・クリエイターへの収益分配を最大70%までサポートする

開発者が作成したゲームを通じて物理的な商品を販売できるようにすることにより、クリエイターへ新たな収益分配を提供するところは、クリエイターに寄り添うRobloxの姿勢を強調しています。

Roblox set to launch paid videogames on its virtual platform

CEOのDavid Baszuckは「10億人のユーザーに到達することを究極のミッションにしている。100 万人を超えるアクティブ ユーザーを抱えるエクスペリエンスが 25 あり、3.5億人のMAUを達成している」と述べています。

Robloxは大きなエコシステムになっており、すでにAAA ゲーム業界全体よりも大きいかもしれません。全体を超えるかもしれないということです。

Roblox’s CEO on getting to 1 billion users

映画「レディ・プレイヤー1」のように、遠くない未来、多くのユーザーがメタバースでコミュニケーションをとるとすれば、Robloxはその入口になるのかもしれません。

新しい AI ビジネス モデル: 技術が機能したときのみ顧客に料金を請求

New AI Business Model: Charging Customers Only when the AI works

AIにより新しいビジネスモデルのスタイルが検証されている、というニュースでした。
・ZendeskやIntercomなどのSaas型のチャットボットサービスが、AI が動作したときのみ顧客に料金を請求するという新しい試みを行っている
・IntercomのAIカスタマーサービスチャットボット「Fin」は、カスタマーサポートチケットの半分弱を人間を使わずに解決できたという

人間の持っているタスクをAIに代替していく過程で、このように成果ベースでの課金モデルにより、より成果がくっきり強調されるようになり、企業のAI導入を加速させるかもしれないと思いました。

ソーシャルメディアで動画を見る時間が増えている

We’re spending more time watching videos on social media
ソーシャルメディアでの動画視聴の増加がオンデマンドストリーミングに費やす時間を奪っており、TikTokがその先頭に立っているという記事でした。

・TikTokでの1日あたりの平均動画視聴時間は、2022年の2.12時間から今年は2.48時間に増加している(Media IDentity Graphのデータ)
・動画は現在、ソーシャルネットワークで費やされる平均時間の約60%を占めている(eMarketer)
・13~24 歳の消費者がテレビと映画を一緒に視聴するメディア時間はわずか 32% であるのに対し、35 歳以上の消費者では 59%(Variety)
・13~24 歳の回答者の58%が、「プレミアムではない」オンライン動画 (ソーシャル動画など) を視聴しているため、「通常の」テレビを見る時間が減っていると回答

各SNSプラットフォームでは動画コンテンツが圧倒的に増えており、よりユーザーは動画を見る時間が増えていることがデータとしてもしっかり出ています。個人的にはYoutubeの再生時間が減ってきているのは、ショート動画の影響なのか、他のプラットフォームが強くなってきているのか、少し気になりました。


「ファウンダーモード」と「マネージャーモード」

Founder Mode

8月のYCイベントでのBrian Cheskyの講演内容があまりに良かったので、Paul Grahamがブログに投稿して、界隈では話題になりました。

そこでは一般的に起業家は「ファウンダーモード」から「マネージャーモード」になるべきとアドバイスを受けるが、AirbnbのBrian Chesky曰く、彼は「良い人材を雇い、彼らに仕事をする余地を与える」というアドバイスに従いましたが、結果は悲惨だったと述べています。

そこでBrian Cheskyは、スティーブ・ジョブズがAppleを経営した方法を研究し、シリコンバレー最高レベルの結果を得ることができたということで、それが「ファウンダーモード」です。

一般に組織をスケールさせる上で悪手とされる「ファウンダーモード」。CEO は直属の部下を通じてのみ会社と関わるという一般的なルールを破ることにはなりますが、その方が制約を捨てて動くことができるという側面もあります。

Steve Jobsは、Apple で最も重要な 100 人と考えた人たちのために毎年リトリートを開催していたが、必ずしも組織図の上位 100 人ではない人たちを選出し、直接コミュニケーションをしたという話をしています。

ファウンダーモードはマネージャーモードよりも組織を複雑にするが、数年後には、ファウンダーモードという概念はまだ理解されていない、として、今後ファウンダーモードがマネージャーモードと同じくらいよく理解されることを願うと、Paul Grahamは書いています。

※本記事では一部でClaude、ChatGPT、Midjourney、DALL-E3などの生成AIを活用して作成しています。

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