「もっと早く知りたかった」最も幸福になるお金の使い方とは?
書店では「お金を稼ぐ方法」や「貯金を増やす方法」など、
効率よくお金を集めるHowto本がよく並んでいますよね。
皆さまも一度は目にしたことがあるかと思います。
それは、こう考える人が多いためではないでしょうか。
お金を手に入れる=幸福になれる
たしかに、私もそう思いました。
しかし、1万7000編を超える学術論文の中で、
収入が増えても驚くほど僅かにしか幸福度は上がらない
と結論づけられているのです。
経済学者や心理学者の見解によると、
”お金を稼ぐ方法”は上手くても、
”お金の使い方”が下手であると、
幸福度は向上しないためだと言われてます。
私たちのお金にまつわる幸福度は、
日常のなんてことない買い物からすでに影響を与えられています。
さて、どのようなお金の使い方が、最も人間の幸福度を向上させるのでしょうか?!
1.経験を買う
まさに現代は、
「モノよりもコト」で消費を選ぶ時代だと言われています。
つまり・・・
車、家、家電、などの物質としての商品そのものではなく、
そこから得られるサービスや体験を重要視します。
この消費方法こそ、幸福度を向上させる要因になります。
物質にお金を払った場合
幸福感は一時的なものなので、
物質を手に入れたところがピークとなり、
その後は「慣れ」ていく一方で新鮮な喜びを維持することが難しくなっていきます。
つまり、物質的幸福の追求には終わりがないので、
一度満たされても、慣れるとまた欲求不満になってしまい、
次の物質を追い求めなくてはならなくなるということですね。
海外バスケットボールの選手でも似たような事象が多発しました。
現役生活は、高所得で裕福な生活が習慣化されますが、
契約期間が終わると、それまでの収入が得られなくなります。
ところが、選手たちは生活水準を下げた生活に対応できず、
生活の慣れから無理をしてしまい自己破産をしてしまうというケースです。
体験にお金を払った場合
その場の満足度が高いことももちろんなのですが、
その経験が話のネタ、他の経験へのチャンスの拡大、人脈作りなどに派生し、
持続的かつ二次的な満足感を得やすいということがわかっています。
その中でも、払ったお金に対して最も大きな喜びを得らる経験は、
次の4つの基準を満たすものだと言われています。
2.思い出話になりそうな経験
3.自らが望む理想の自分像に結びつく経験
4.めったにないチャンスを与えてくれる経験
2.ご褒美に買う
オーストラリアでこんな実験が行われました。
Aグループ:毎日チョコを支給(おかわりが欲しくなったらすぐに貰える)
Bグループ:一週間に一度だけ決まった時間にチョコを支給(おかわりはなし)
両グループの満足度の計測を行いました。
明らかにAグループの方がチョコレートの摂取量も多く恵まれてはいます。
しかし、1ヶ月後の実験結果では、
Bグループの方が満足度が高いという結果になりました。
ものが豊富にあり過ぎていると、
私たちはそのもののありがたみを忘れてしまうようです。
一方それが足りていないものだった場合、
それを手にすること自体が新鮮に感じられ、
貴重な経験であるように思えてくるのです。
「希少性」という武器
よくマクドナルドで期間限定のメニューがありますよね
・月見バーガー
・グラコロバーガー
・てりやきマックバーガー
などです。
これらのメニューは人気なので、「一年中売り出せばいいのに!」と思います。
しかし、これこそがマクドナルドの作戦なのです。
あえて期間限定にすることで、希少性をあげ、付加価値をつける。
つまり、その期間だけのご褒美にする、という狙いなのです。
賢明なマッサージ師は休憩を挟む?
30分間のマッサージを受ける前、
4分の3の人が「中断なくマッサージを行ってもらいたい」と答えました。
ところが、マッサージ中に休憩を取らされた人の方が、
休憩のなかった人よりもマッサージをもっと楽しみ、
「次回にはもっと料金を払ってもいい」と思うようになりました。
「賢明なマッサージセラピストは、マッサージ中に休みを入れることによって
客の楽しみを最大にする」
カリフォルニアの研究チーム、リーフ・ネルソンは述べています。
3.時間を買う
Uber Eatsや、AmazonなどのEC企業が最近よく利用されていますよね!
私たちはこれらのサービスを通して
単純に商品だけを買っているわけではありません。
「実際には足を運んで買いに行っているはずだった時間」も
同時に買っているのです。
実際に、
「お金と時間のどちらが大事だと考えるか?」
というアンケートに答えた学生の進路と幸福度に関する調査結果から、
時間的な余裕を重視する人の方が
やりがいがある仕事と幸福な暮らしを手に入れていた
という事実も新たに明らかになっています。
掃除機を買うか、ルンバを買うか
ルンバは普通の電気掃除機よりもずっと値が張ります。
しかしルンバには、部屋を綺麗にするということ以外にも、
人々にとって役立つ点があるのです。
それは時間をつくるという点です。
掃除という誰でもできることに時間を使わずに、
自分にしかできない他のことに集中できる、
時間的空白が与えられます。
このため時間に余裕があると、
人生の満足度は上がると言われています。
豊かさを求めすぎると、自由な時間が奪われる
物質的な豊かさが、あまり多くの幸福をもたらさないのは、
その豊かさを手に入れるために、
自由な時間を犠牲にしてしまっている
ことも大きな要因として考えられています。
これからは、
自分の苦手な作業やわかりにくい難解な作業を、
代行してくれる機械や仕組みをうまく駆使し、
効率よく自由な時間を手に入れることがテーマになっていきそうですね。
4.先払いをする
現在は「PayPay」や「楽天Pay」など様々な支払いツールが普及しています。
クレジット払いでキュッシュレス還元が適応されたりもします。
キャッシュレス化が当たり前になることで、
小銭でもたもたすることもなく、一瞬で会計できるので、
時間短縮になりとても便利なのですが、
使い方次第では、不幸にももっと幸福にも感じる場合があるのです。
「旅行は出発前が楽しい」という法則
明るい未来を想像することで、人は現在の喜びを引き起こします。
オランダでの1,000人以上を対象にした研究でこのようなことがわかりました。
旅行客は、
旅行の前の数週間の方が、
旅行の後の数週間よりも、
大きな幸福を感じる。
お金を消費するという行動自体は、
人間にとってネガティブな行為ですよね。
しかし、それが旅行のような輝ける未来に対する投資だと思うと、
人はお金を消費することを苦だと思わなくなる傾向があります。
反対に過ぎてしまった過去の出来事にお金を払う場合、
すでに使用済みの商品を買うのと同じ感覚になり、
必要より多くのお金を払っている気分になるのです。
キャッシュレス払いの注意点
携帯端末やクレジットカードの決済には、
支払いの痛みを和らげる麻酔効果があると言われています。
こんな実験があります。
学生たちにオークション会場へ行かせ、
お気に入りの商品を入札できる機会を与えました。
その結果、
現金払い :平均2,800円
キャッシュレス払い:平均6,500円
と落札価格に大きな差異が見られました。
キャッシュレスでも、
工夫することはできます。
先払いの場合
カードにチャージする金額を事前に決めておきそれ以上は使わない、
という対応を選ぶことができます。
後払いの場合
自分がどれだけお金を使ったかも忘れてしまい大量の請求書が届く、
なんてことが起こり得ます。
所持している金銭の自分でコントロールできているということは、
安心感や余裕につながるので、幸福な状態を保ちやすいと言われています。
5.他人に投資する
「与えること」と幸福度の関係
このような実験があります。
A・Bそれぞれのグループに以下のような指示が出されました。
Aグループ:「スターバックスの商品券を自分のために使用してください」
Bグループ:「スターバックスの商品券を大切な誰かのために使用してください」
その後、両グループの満足度・幸福度を測ったところ、
Bグループの方が圧倒的に一連の行動を肯定的に捉えていることがわかりました。
ほんの少量の財産や資産でも他人のために使うと、
私たち自信の幸福感にプラスの効果が表れるという結果が示されています。
投資はお金持ちだけの特権か?
カナダとウガンダの例があります。
カナダとウガンダは収入に関して大きな違いがあります。
カナダは世界のトップ15%に位置しているのに対し、
ウガンダは世界の下位15%に位置しています。
しかし投資する金額の大小は違くても、
どちらの国も幸福に関する結果は同じものが見られました。
いずれもお金を自分のことより他人のために使ったことを
思い出したときに
幸福度が最も上昇する傾向があることがわかりました。
まとめ
以上になります。
まとめると、支払った金額から最大の幸福を得るのは、
次の3つのケースだと言われています。
2.支払ったものを消費する前より、実際に消費しているときの喜びが上回る
3.消費する経験自体はかなり短期的に終わってしまう
同じ金額のお金でもちょっとした使い方の工夫によって、
良い方向にも悪い方向にも感じ方を変えることができそうですね。
幸福になろうとすること自体が、
幸福を遠ざけているという不思議なお話でした。
ここまで目を通していただきありがとうございます。
今回の参考文献はこちらです。
ぜひご購読ください。
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